岩手県
印刷する気候は、奥羽山脈の山沿い地方は冬に雪の多い日本海側の気候を、北上高地は高原性、盆地性の気候を示す。また、北上川沿いの平野部は全般的に冬の寒さが厳しく、夏は暑い内陸性の気候を、沿岸部では海洋性の気候を呈する。ただし、宮古市以北では寒流の影響のため全般的に気温が低く、冷害が発生することもある。
8世紀ごろまで蝦夷の住む辺境の地とされ、その後もみちのく(陸奥)と呼ばれた。砂金、馬、漆などの豊かな経済力をバックにした藤原三代の文化遺産を誇る平泉を頂点に、各地に多種多様な民俗芸能などが受け継がれている。近世は北半は南部氏の盛岡藩領(のちの八戸藩が独立)、南半は伊達氏の仙台藩領(のちに一関藩が独立)となった。維新直後は岩手県の行政区画は目まぐるしく変わり、1876(明治9)年に現在の県域となる。
広大で多岐にわたる風土を舞台に、古くからの金、鉄、馬、漆の生産、田畑の耕作、リアス式海岸地帯での磯漁業などを通して人々の生活が営まれてきた。また、鉱産資源に恵まれており埋蔵地域は県全体に及ぶ。この他、電機、食品等の製造業が行われている。伝統的産業では、南部鉄瓶と漆器の秀衡塗、浄法寺塗(いずれも国の伝統的工芸品に指定)が代表的。
水と緑の街として「杜と水の都」とも称される盛岡と八幡平エリアは盛岡城跡公園(岩手公園)、石割桜、八幡平、安比高原等がある。大自然に囲まれた県北エリアは東北有数のヒメボタルの群生地として有名で折爪岳、平庭高原などがある。宮沢賢治のふるさと花巻市や「遠野物語」で有名な遠野市などがある県央エリアは古くから文化の香りが高い地域で、早池峰山、展勝地等がある。かつての東北地方の政治・文化の中心だった平泉のある県南エリアには文化遺跡や重要文化財や史跡が多く、リアス式海岸で知られる日本一の海岸美を誇る北部陸中海岸エリアは龍泉洞等の景勝地、陸中海岸エリアには浪板海岸、穴通磯、滝観洞等がある。県内には八幡平温泉、湯田温泉、花巻温泉、一関温泉、つなぎ温泉等、温泉も多い。民俗芸能は全県的に広がり、神楽、田植踊、鹿踊、念仏剣舞など特色のある約1000を超える芸能集団が存在すると言われている。