早坂高原はやさかこうげん

JR東北本線・東北新幹線の盛岡駅から東北東へ約37km。岩泉町と盛岡市の境、標高916mの早坂峠を中心に広がる穏やかな大平原で、ゆるやかに起伏する草原に白樺林や赤松の林が点在する自然公園。
 北上山地のなだらかな高原に、ブナ、ダケカンバ、シラカンバ、ミズナラ、ドイツトウヒ、アカマツが生育する景勝地。4月下旬~5月中旬のカタクリ、6月上旬~中旬のレンゲツツジ、6月中旬~下旬のアヤメ、7月中旬~下旬のノハナショウブが咲く。
 早坂峠にある「早坂高原ビジターセンター」を起点に総延長4kmの2本の散策路が設けられ、カタクリやレンゲツツジが観察できる。
 牧草地(早坂放牧場)には岩手短角牛*が放牧され牧歌的な光景がみられる。
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みどころ

見通しの良い森のなかをゆっくりできる散策路は、一面が緑に覆われ、植物や土の香りに包まれて、心が穏やかになる。登山ほどハードルが高くないので、都市部で忙しい日常を過ごしている方にぜひおすすめしたい。カタクリ、レンゲツツジ、白樺などが生育しており、高山植物が好きな方にもたまらない場所だ。推定樹齢500年のシナノキは、樹高約20mの巨木で見ごたえがある。
 歩いて散策しないまでも、緩やかな地形の自然を自動車でドライブするのも楽しい。盛岡から国道455号を来ると、早坂高原よりも手前にある岩洞湖(ダム湖)は、春は新緑、秋は紅葉が美しい。
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補足情報

*短角牛:日本短角種は、4種類ある和牛品種の一つ。日本で主に飼養されている黒毛和種がサシ(霜降り)が入っているのに対して、短角種は低脂肪で旨味の基となるアミノ酸を多く含む赤身の牛肉で、近年、健康志向や安全・安心を求める消費者のニーズもあり注目されている。日本短角種のルーツは、旧南部藩時代に物資輸送などのために飼養されていた日本在来種の南部牛にある。この南部牛に、アメリカから輸入したショートホーン種などを掛け合わせて改良し、1957(昭和32)年に日本短角種として登録された。