滝観洞ろうかんどう

住田町の北東端、JR東日本釜石線上有住(かみありす)駅から徒歩3分、釜石自動車道の滝観洞ICから車で1分の所にある。
 大理石からなる鍾乳洞で、数億年かかって海底に堆積した石灰岩の層が隆起し、地上で雨などに浸食されてできたもの。洞内の足下や壁にはかつて海底だったことを証明する海洋生物の化石が見られる。
 地底を880m進むと、最奥部のドームにドウドウと流れ落ちる「天の岩戸の滝」にたどり着く。落差は29m、洞内滝として日本有数である。
 「天の岩戸の滝」の名は、大正から昭和にかけて活躍した女流・柳原白蓮*が命名。住田町出身の歌人・佐藤霊峰の師であり、彼の死後、住田町を訪れた際に滝観洞にも立ち寄り、「天の岩戸滝」と詞書して詠んだ歌、「神代よりかくしおきけむ滝つ瀬の 世にあらわるゝときこそ来つれ」が歌碑として設置されている。

※現在、仮設受付場所にて洞窟見学のみ受付。新受付および、名物滝流し蕎麦については、2024年4月にオープン予定。
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みどころ

最大の見どころは最奥の天の岩戸の滝だが、滝にたどり着くまで、しゃがんだり滑ったりしながら狭い道を進む冒険気分を楽しめる。歩みを進めると、大ホールと巨大な滝が出現する光景は、クライマックスとして完璧ではないだろうか。滝が流れ落ちる音が洞窟内に響き、音響による効果も絶大である。
 片道約20分前後で、数億年の自然の営みを感じながらアドベンチャーな体験ができる魅力的なスポットである。
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補足情報

*柳原白蓮:1885(明治18)年~1967(昭和42)年。歌人。東京の生まれ。本名、宮崎燁子(あきこ)。佐佐木信綱に師事し短歌雑誌「心の花」に作品を発表。情熱的な歌風で知られる。歌集「踏絵」「幻の華」など。