千沼ケ原せんしょうがはら

秋田駒ヶ岳と岩手山の間に位置し、乳頭山(烏帽子岳東)の東南方、標高1,400mにある高層湿原*。ニッコウキスゲ・ヒナザクラなどの高山植物に彩られ、大小の池塘が配された大湿原で、周囲はオオシラビソに囲まれている。1954(昭和29)年に初めて人が入り、山上の仙境として話題をまいた。湿原までのルートが長く、経験を積んだ登山客以外の探勝はむずかしい。
 千沼ケ原の地名のとおり、全体で1,000近くの池塘(沼)があることからこう呼ばれている。標高約1,379mで周りをアオモリトドマツ林に囲まれ、スケールの大きさ(約46万m2)や原始性が保たれているという点で貴重な高層湿原である。
 岩手県側からは滝ノ上温泉登山口より烏帽子岳経由で約7.6km・約220分、平ヶ倉沼登山口より約5km、約180分。秋田県側からは、乳頭温泉登山口(大釜温泉)烏帽子岳経由で5.5km、220分。
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みどころ

名称のとおり、多くの池塘が点在し、湿性花が美しい湿地で、シラビソに囲まれた大湿原には大小の池塘が点在し幻想的な風景が広がる。湿原までのルートが長く、秘境感があり、トレイルをハイキングするおもしろさは、ピークハントを目指す登山とは違った、ゆとりのある自然とのかかわり方を楽しめる場所である。
 特におすすめしたいビューポイントは、笊森山から千沼ヶ原へ向けて下る景色で、千沼ヶ原全体を眺望できるうえ、遠方に岩手山も見える。
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補足情報

*高層湿原:低温・過湿で塩類の乏しい貧栄養の所にできる湿原。ミズゴケが多く、泥炭化が進んで盛り上がった所ができる。高山や高緯度地方に多い。