宮守川橋梁(めがね橋)みやもりがわきょうりょう(めがねばし)

遠野市内、JR釜石線の宮守駅から徒歩約10分、JR釜石線の宮守駅と柏木平駅の間にある。アーチ状のコンクリート製の橋で、特徴的な形状から通称「めがね橋」とよばれている。岩手軽便鉄道が花巻から仙人峠間を走る狭軌鉄道として、1915(大正4)年に開通、1943(昭和18)年に改修されて現在の橋となった。旧橋の橋柱の一部が遺構として残っている。
 橋の全長は107.3m、高さ17.8m。20m間隔で均等に半円が五つ連なる5連アーチが並び、当時の建設技術力が高く評価されている。
 童話作家・宮沢賢治*の名作『銀河鉄道の夜』は、1915(大正4)年に建設された旧橋をモデルにを描いたともいわれている。
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みどころ

半円が連なる特徴的なアーチにまずは目を見張る。時を経た風合いを醸し出すコンクリートの質感や美しいアーチが、ノスタルジックな雰囲気で山間の景観に映える。建築土木の構造物が好きな人にとっては、ただそこに存在しているだけで胸の高まりをおぼえるだろう。   
 『銀河鉄道の夜』のモチーフという説もあり、空想しながら眺めていると、時間を忘れてしまう。建造物ファンや鉄道ファンにとって価値の高い資源である。
 1980年代末から通年でライトアップされており、深い山々に囲まれた夜空の下、大正から昭和時代にかけて造られた巨大な構造物が、緑や橙、青色の光によって闇夜に浮かぶ。長い時を経たコンクリートの重厚な質感が古き時代のノスタルジーな印象を与え、眺める人々を惹きつけている。
 こうした橋の魅力を発揮する取組みがなされているのも、この橋に対する地域の人々の愛情を感じる。
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補足情報

*宮沢賢治:1896(明治29)年~1933(昭和8)年。詩人・童話作家。岩手の生まれ。農学校教師・農業技師として農民生活の向上に尽くすかたわら、東北地方の自然と生活を題材に、詩や童話を書いた。詩集「春と修羅」、童話「風の又三郎」「銀河鉄道の夜」など。