浄土ヶ浜じょうどがはま

浄土ヶ浜*は、宮古市の北東、宮古湾にこぶのように突き出た半島の北側にある。東北自動車道盛岡南ICから車で90分、第一駐車場から徒歩10分から15分、JR宮古駅からバス(浄土ヶ浜行)に約20分乗り、浄土ヶ浜バス亭下車してすぐの場所にある。
 約4400万年前の古第三紀(白亜紀の次の時代)に形成されたといわれ、火山岩からできた白い岩と小石によって入り江が作られており、外海から隔てられているため波がおだやかである。浄土ヶ浜の白い岩は流紋岩という火山岩で、三陸海岸が海底にあったころできたものであり、その後の隆起によって海面上に浮かび上がり、海水の浸食を受けて現在の姿になった。白色の流紋岩が海辺に出ているのは浄土ヶ浜だけである。
 頂には赤松の緑をのせた純白の岩塊が、鋸の歯のように一列に並んで小半島を作り群青の海にその姿を映している。剣ノ山・賽ノ河原・血ノ池などと名付けられた奇勝がある。
 青く澄んだ入江は波静かで、海水浴やボート遊びにも適している。令和4年7月には、新しい遊覧船「宮古うみねこ丸」も就航し、浄土ヶ浜をはじめ、国天然記念物の「ローソク岩」や「日出島」をガイドとめぐることができる。レストハウスもあり、シーズン中は海水浴客や観光客で賑わう。海沿いや桜の名所臼木山をめぐる眺望のよい遊歩道もある。
 「浄土ヶ浜マリンハウス」から「青の洞窟」と呼ばれる「八戸穴」まで小型船で行くさっぱ船ツアーがあり、岩間をくぐって、美しい海の色を眺められる。北側に蛸の浜、浜の背後の高台に県立水産科学館が、第一駐車場に面して浄土ヶ浜ビジターセンターがある。
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みどころ

名勝らしい風光明媚な海岸で、鍬形、八戸穴、お台場、賽の河原、エボシ(烏帽子)岩などの多数の岩があり、見どころに事欠かない。浜から海や海岸景観を眺めるだけでも十分に心が満たされる景勝地であるが、アクティブに楽しみたい。小型の磯舟「さっぱ船」で「青の洞窟(八戸穴)」に向かいたい。エターナルグリーンの透明で神秘的な美しさに驚かされる。
 また、浄土ヶ浜は三陸ジオパークを代表するジオサイトであり、ガイドの解説を聞きながら巡る浄土ヶ浜ジオガイドや、インストラクターと一緒に体験するシーカヤックもおすすめ。
 体力がある方は「みちのく潮風トレイル」*のコースを歩きながら浄土ヶ浜周辺をロングディスタンスハイキングで楽しもう。
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補足情報

*浄土ヶ浜:地名は、江戸時代の天和年間(1681~1684年)に、宮古山常安寺の霊鏡和尚が「さながら浄土のごとし」と感嘆したことからと言われている。
*みちのく潮風トレイル:青森県八戸市から福島県相馬市までの、4県28市町村にまたがる太平洋沿岸を一本の道で繋ぐ、全長1,000kmを超えた国内最長のロングトレイル(歩くための道)。東日本大震災後、環境省の「グリーン復興プロジェクト」の一つとして進められ、自然の恵みや東日本大震災の脅威を学びつつ、それらを活用し復興を後押しすることを目的に設定された。