須川温泉すかわおんせん

JR東北線・東北新幹線一ノ関駅から西北西へ約33km、バスで山間部を約90分かけて上っていく*。宮城県、秋田県、岩手県の3県にまがたる栗駒山、その山頂の北方、中央火口丘である剣岳の北麓にある。
 岩手県側の標高1,126mに位置する須川高原温泉は、潅木や溶岩に囲まれ野趣に富んだ宿である。高地に位置するため紫外線が強く、気候療養の適地で1958(昭和33)年に国民保養温泉に指定されていた(今は指定から外れています)。
 泉質は、酸性・含硫黄・鉄(Ⅱ)-アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉(硫黄水素型)で旧表示で強酸性(酸性含硫黄硫酸塩泉)、50度程度。湧出量は毎分6,000リットルという豊富さで、溶岩丘の下から滝となって流れ出ている。温泉浴のほかに蒸気浴もでき、宿舎の南東300mに「ふかし湯」*がある。大露天風呂、大浴場、キャンプ場もあり、付近は紅葉が美しい。栗駒登山*の絶好の基地となっている。
 また、須川高原温泉から数百m、徒歩数分の秋田県側の須川温泉栗駒山荘には、栗駒山のブナの原生林や雲海に浮かぶ鳥海山を望む絶景のロケーションが魅力のいで湯である。
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みどころ

須川高原温泉はなんといっても岩肌と木々を眺めながら入る露天風呂のロケーションが最高の温泉地。木造りの大浴場は秘湯の雰囲気を楽しめる。栗駒山須川コースの登山道入口にもなっており、登山後に温泉に入浴すると緊張した体と心がほぐれていくのを感じ、解放感が心地よい。
 栗駒山は修験の霊山であり、滝のように温泉が流れ湯けむりが漂う空間は神秘的な秘境の雰囲気を楽しめるので、登山をしない方にも満足度が高いと思われる。
 秋田県側の須川温泉栗駒山荘は、浴場からの展望が素晴らしい。特に秋は辺り山麓一帯が赤や黄色、オレンジの美しい紅葉に包まれる。
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補足情報

*バスで山間部を約90分かけて上っていく途中、「骨寺村荘園遺跡」を通過する。その昔、「骨寺村」と呼ばれた荘園で、鎌倉時代の歴史書『吾妻鏡』に村の四方の境が示されていて、その範囲が明らか。 また、中尊寺に伝存する古文書や一枚の『陸奥国骨寺村絵図』によって、中世の村の姿を視覚的に体験することができる。
*ふかし湯:蒸し風呂で「おいらん風呂」とも呼ばれる。溶岩流上にある小屋の中に土間があり、ゴザを敷いて寝ころぶ。下には直径10~20㎝の孔があり、45~53度の噴気が出てくる。
*栗駒登山:須川コース登山道は、昭和湖付近の火山ガス(硫化水素)濃度が高いことから、「苔花台(たいかだい)~天狗平(てんぐだいら)の区間」が立入禁止となっている。(2019(平成31)年4月23日、岩手県環境生活部自然保護課発表)

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