盛岡冷麺もりおかれいめん

盛岡冷麺は、盛岡市に数多くの提供店があり、ご当地の食として有名。冷麺はもともと朝鮮半島の北西部・平壌(ピョンヤン)で生まれたもので、朝鮮半島出身の移住者が1954(昭和29)年ごろ、故郷を懐かしみ盛岡市の店で冷麺を出したのが始まりといわれる。「盛岡わんこそば」、「盛岡じゃじゃ麺」と並び、「盛岡三大麺」とよばれる。
 提供開始当時は、ゴムのような麺に驚き、なかなか定着しなかったが、平壌のあっさりとした辛味のない冷麺に、盛岡と同じ北緯40度付近にある咸興(ハムフン)の辛味のある冷麺の味を合わせ独特な味わいとなり、盛岡冷麺の特徴となった。
 盛岡冷麺の魅力は、小麦粉とでんぷんで作られたツルッとした食感と、コシの強い麺にあり、また、牛骨や鶏肉などでダシをとった冷たいスープは、旨味が凝縮されてコクがある。キムチの辛さは、多くの店で3~5段階まで選べるようになっている。キムチの他にも、ゆで卵やきゅうり、牛すじ肉、スイカ、リンゴ、梨などのトッピングを用意している店がある。
 2000(平成12)年4月に公正取引委員会から名産・特産等の表示の承認を受け、名実ともに岩手県を代表する味の一つとなった。
#

みどころ

比較的新しい食文化だが、1950年代から一過性のブームに終わらず、地域の名物になった。地元でも日常的に食され、市民に愛されていることが、「食べてみたい」と来訪者に思わせる理由の一つではないかと思う。盛岡といえば冷麺を連想できるほどで、盛岡を訪ねたら食べておかないと落ち着かない気分になる。
 「盛岡冷麺」といっても、提供店舗により麺や味付け、トッピングに個性があり、自分好みの味を見つける楽しみがある。提供店が数多くあり、また、盛岡には冷麺だけではなく、わんこそば、盛岡じゃじゃ麺があるので、なかなか決められないことがしばしば。事前にしっかりとリサーチするも良し、出会いを期待するのも良し、それぞれの旅のスタイルで味わってほしい。
#

補足情報

*盛岡市は中華麺の購入額が全国の県庁所在地で一位になるなど、市民の食生活の中に麺料理が定着しており、とりわけ「わんこそば(※資源名称:わんこそばを参照)」「盛岡冷麺」「盛岡じゃじゃ麺」は「盛岡三大麺」として親しまれている。このうち「盛岡じゃじゃ麺」は炒めみそうどんのことで、平うどんのような独特の麺に、特製の肉味噌とキュウリ、ネギをかけ、お好みでラー油やおろしショウガ、ニンニク、酢などをかけて食べる麺料理で、くせになる味わいです。最後に、麺と具を少しだけ残し、生卵を割り入れてから、「ちーたんたん(鶏蛋湯)」と注文し、美味しい玉子スープをいただくのが定番です。