三陸鉄道さんりくてつどう

岩手県の三陸海岸を縦貫する鉄道路線(リアス線)。第三セクター方式の鉄道会社。通称は三鉄(さんてつ)。
 1896(明治29)年の三陸地震の際に急峻な地形が支援物資の輸送を阻んだことを踏まえ三陸沿岸を結ぶ鉄道が構想され、復興策として建設された。1928(昭和3)年11月22日に仙台 - 石巻間(宮城電気鉄道、現在の仙石線)が開通し、1975(昭和50)年7月20日の普代 ~久慈間(久慈線)まで相次いで開業した。1981(昭和56)年9月18日に国鉄再建法による第1次特定地方交通線に指定され、国鉄路線として廃止されることが決定され、岩手県と沿線市町村が同年11月10日に第三セクター「三陸鉄道株式会社」を設立した。1984(昭和59)年4月1日に全通した。
 2011(平成23)年3月11日発生の東日本大震災の津波で甚大な被害を受けたが、地震発生から5日後の3月16日には久慈 ~陸中野田間で運転を再開し、さらに被害が少なかった他の区間についても3月末までに運転再開し、被災者を勇気づけた。2014(平成26)年4月6日に全線が復旧して運転を再開した。
 2019年(平成31)年3月23日、JR東日本より山田線(宮古 ~釜石間)を移管され、盛〜釜石〜宮古〜久慈間163kmが三陸鉄道リアス線となる。2019(令和元)年10月12日の台風19号の襲来により大きな被害を受けたが、2020(令和2)年3月20には全線で運行を再開した。
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みどころ

車窓から太平洋を見晴らす絶景は必見である。おすすめは、堀内駅の付近にある2つの橋からの眺め。堀内駅と白井海岸駅の間にある大沢橋梁では、日中帯の列車が橋の中間で数分間停車または徐行してくれるので絶景をゆっくり堪能できる。太平洋のパノラマはもちろん、鮭の遡上も季節によって観賞できる。
 なにより、三陸鉄道の魅力は東日本大震災との関係性抜きには語れないだろう。災害から間もなくして一部の路線を再開させた姿に東北の被災者はもとより、日本中の多くの人々が勇気をもらった。
 ローカル線の情緒ある雰囲気を感じながら、震災と復興のうえに成り立つ美しい車窓からの景色に想いを馳せてほしい鉄道。