焼石岳やけいしだけ

JR東北本線水沢駅から西に約28km。岩手県南西部に位置し、奥州市と和賀郡西和賀町の境にある火山。標高1,547m。奥羽山脈中部に属し、栗駒国定公園の一部である。焼石連峰の主峰で南に横岳、獅子ヶ鼻岳、西に三界山、北に牛形山、東に経塚山などがある。
 山名は薬師岳から転化したという説と、山頂周辺に焼けたような黒い岩の積み重なった様子からともいわれる。
 標高と比較して高山植物が豊富である。中腹にある中沼と上沼は雪解けから盛夏まで高密度に湿性植物が咲く。山頂直下の姥石平は6月上旬から晩夏まで広大なお花畑を展開する。焼石沼周辺のミヤマキンポウゲのお花畑や、焼石沼上部のお花畑も優れている。春の雪解けとともに可憐なヒナザクラをはじめエゾウサギギクなど色とりどりの花が咲く。本州ではこの山にしかない北方系の植物も分布するなど植物地理学的にも重要な山で、花の山として登山者に人気がある。
 姥石平の先に扁円頂丘状の頂上があり、一等三角点が設置されていて、この山域の天竺山、経塚山、横岳、獅子ヶ岳などの火山群が眺められる。さらに姥石平とは違ってイワテハタザオ、タカネナデシコなどの乾性の高山植物が多い。
 登山路はツブ沼登山口、中沼登山口、東成瀬三合目の三つの登山口があり、頂上まで3時間から4時間ほどである。北東麓の夏油温泉から経塚山経由で登るコースも変化に富んでいる。頂上からの展望は雄大で八幡平、岩手山、早池峰山、鳥海山、月山および飯豊山など東北の主な山々が遠望できる。
 焼石沼周辺では昔、牛の放牧が行われていて、放牧に従事する人々が食料用に焼石沼にニジマスを放流したため、焼石沼にはニジマスが野生化している。
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みどころ

焼石岳は月山、八甲田山とともに残雪が多く、ブナの原生林に覆われ、山腹には小沼が多く分布しミズバショウや高山植物も豊富。東麓の尿前(しとまえ)渓谷は無数の滝をつくり、とくに紅葉期は美しい。
 ピークに至るまでのアプローチの変化がとても魅力的な山である。ブナの原生林の間を抜けると、大雪渓や湿原があらわれ、やがてハードな岩山へ。特筆は何といっても色とりどりに咲く高山植物の花で、東北屈指の花の山と人気が高い。特に6月に咲くハクサンイチゲのお花畑が人気である。ピークにたどり着くと、鳥海山、月山、岩手山など東北の名峰が一望できるのも魅力的である。