岩手山焼走り熔岩流いわてさんやけはしりようがんりゅう

東北自動車道西根ICから県道233号を経由して約15分ほど走ると散策路入口に到着する。岩手山の北東山腹、標高1,200m付近にあり、末端における幅は1.5km、長さ4kmに及ぶ溶岩流である。1719(享保4)年の噴火によって流れ出た溶岩が扇状に広がり、表面の波絞の如き凸凹には樹木がほとんど育たず、わずかに苔などが生えているだけという荒涼とした光景を見せている。溶岩流を作った第1噴出口跡、第2噴出口跡などの噴出口は、標高850mから1,250m付近まで直線状に複数個所残っており、いずれも高さ4~5m、直径4mほどのものである。
 溶岩流末端に片道約1kmの観察路が設けられており、自由に見学することができる。また散策路の終点(展望台)には、当地を訪れた宮沢賢治による詩、「鎔岩流」の碑が建てられている。宮沢賢治は、この場所を「鬼人たちの棲み家」とうたっている。
 溶岩流の末端近くのアカマツ林の中にキャンプ場があり、岩手山への登山基地にもなっている。焼走りコースは岩手山山頂まで約6km、目安としてのコースタイムは5時間半ほど。
#

みどころ

散策路の階段を上がると、冷えて固まった黒い岩石が一面に転がる別世界。散策路といえど岩に足を取られる。自生する灰色の苔を観察したり、焼走り熔岩流の背景に岩手山を望む景観を眺めながら1時間ほど登ると、岩手山と焼走り熔岩流を一望できる展望台に到着する。火山活動と植生への影響を感じられる場所で、わずか1kmほどではあるが、溶岩の中を歩くダイナミックな体験ができる。

あわせて行きたい