奥州市は、岩手県南西部にあり、西側を奥羽山脈、東側を北上高地で挟まれる北上盆地の南部に位置する。市の中央を北から南に北上川が流れている他、人首川等の河川沿いに低地と里山が広がる。焼石岳を主峰とする西部地域の焼石連峰はブナの原生林が多く残されている。北は北上市、西和賀町、金ケ崎町、花巻市、南は一関市、平泉町、東は遠野市、住田町、西は秋田県東成瀬村に接している。
 南北にJR東北本線、東北新幹線の他、国道4号(旧奥州街道)、456号、東北自動車道が通る。新幹線の水沢江刺駅、東北自動車道の水沢インターチェンジ、平泉前沢インターチェンジがある。東西には国道343号、397号が通じ、北部を国道107号、釜石自動車道が横断する。
 坂上田村麻呂が802(延暦21)年に胆沢城(城跡は国指定史跡)を築き、奥羽平定の拠点とした。中尊寺に近い衣川区には安倍氏や藤原氏にかかわる遺跡が多い。江戸時代、盛岡藩に対する藩境防衛体制の要所となった岩谷堂要害の館下に岩谷堂町が発達。北上川の河港下川原を擁し、盛街道が通じるなど交易市場として栄えた。
 北上川西部扇状地では水稲(江刺金札米など)、豆類、野菜、リンゴなどを栽培し、南部鉄器の生産も盛ん。近年は乳牛、肉牛(前沢牛など)飼育も盛ん。この他、工業団地や伝統産業の岩谷堂箪笥の木工団地が造成されている。
 栗駒国定公園焼石連峰、イーハトーブの風景地(国の名勝)、胆沢ダム(国内最大級のロックフィルダム)、胆沢の散居集落(日本三大散居集落)、種山高原星座の森や、大清水上遺跡、角塚古墳、胆沢城跡(いずれも国の史跡)、正法寺(本堂、庫裏、惣門が国の重要文化財)、黒石寺(東北地方最古の寺。木造薬師如来坐像、木造僧形坐像、木造四天王立像が国の重要文化財)がある。えさし藤原の郷、水沢ふれあいの丘公園やスキー場、国立天文台水沢VLBI観測所、奥州宇宙遊学館、奥州市武家住宅資料館、高野長英記念館等の施設や、薬師堂、石田、胆沢川、前沢、黒滝等の温泉もある。鬼剣舞、川西念仏剣舞、江刺鹿踊りはいずれも国の重要無形民俗文化財。黒石寺で夜を徹して行われる蘇民祭は、奇祭として知られる。

観光資源一覧

日高火防祭の写真

写真提供:一般社団法人東北観光推進機構

日高火防祭 (岩手県 奥州市 )

JR東北本線水沢駅から徒歩約10分、岩手県奥州市水沢の市街地で実施される火防祈願の祭。本祭は、4月最終土曜日、前夜祭は本祭の前日に行われる。(令和5年度は本祭のみ実施)  少年時代、江戸にいた伊達宗景は、1657(明暦3)年の大火をはじめとした火事の多さ、恐ろしさに驚き、帰水後、火防の対策に万全の策を講じた。人智の不測不慮の罹...

焼石岳の写真

焼石岳 (岩手県 奥州市 / 西和賀町 西和賀町 )

JR東北本線水沢駅から西に約28km。岩手県南西部に位置し、奥州市と和賀郡西和賀町の境にある火山。標高1,547m。奥羽山脈中部に属し、栗駒国定公園の一部である。焼石連峰の主峰で南に横岳、獅子ヶ鼻岳、西に三界山、北に牛形山、東に経塚山などがある。  山名は薬師岳から転化したという説と、山頂周辺に焼けたような黒い岩の積み重なった...

黒石寺蘇民祭の写真

写真提供:一般社団法人東北観光推進機構

黒石寺蘇民祭 (岩手県 奥州市 )

JR東北本線水沢駅から南東へ約8km、東北新幹線水沢江刺駅から南南東へ約7kmの距離にあり、奥州三十三観音の霊場として多くの信者を集める黒石寺で行われる祭り。  五穀豊穣・無病息災を祈る祭りで、旧暦の1月7日夜半から翌早暁まで、「裸の男と炎の祭」とし、災厄を払い、五穀豊穣を願う裸参りに始まり、井桁に積み上げた生松割木の上で火...