遠野ふるさと村とおのふるさとむら

JR釜石線遠野駅から北へ約7km。遠野ふるさと村には、江戸中期から明治中期にかけて造られた茅葺屋根の曲り家(南部曲り家)がそのままの形で移築され、小川が流れ水車がまわり、田畑があり、炭焼き小屋がありと、遠野の昔ながらの集落が再現されている。
 南部曲り家は、母屋と厩(馬屋)がL字形に一体化した建造物で、18世紀前半・中期にまで遡ることができる。岩手県南部領地方(旧南部藩領)の岩手県部分のほぼ全域に存在していた。この施設では、7棟の南部曲り家とレストランや炭小屋、水車小屋などの建物を見学できる。
 施設で遠野の文化と伝統を守る役割を担っている人を「まぶりっと(守り人)」と呼び、まぶりっと衆が農作業などに従事しながら、農村体験する人のインストラクターの役目を担い、藁細工や竹細工、染色などの多様な体験プログラムを実践している。
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みどころ

人と馬が一つ屋根の下で暮らした南部曲り家を集積した施設で、施設内は昔ながらの農村を再現しているため未舗装になっており、土の上を歩くこと自体が時代をタイムスリップしたようで新鮮でおもしろい。足元に気をつけながら7棟ある曲り家を見学していくと、曲がった木を使った梁や太い柱を使った昔ながらの日本家屋に当時の大工の技術の高さを感じて唸ることしばしば。母屋と同等に見える厩(馬屋)を眺めていると、馬がどれほど大切な存在だったのかを容易に想像することができる。
 遠野ののどかな風景を楽しみたいなら、遠野駅の南南西にある鍋倉公園(鍋倉城跡)*がお薦め。高台にある天守閣を模した展望台からは、遠野市街地を一望することができる。
 また、より深く遠野の歴史文化を知りたい場合には、鍋倉公園(鍋倉山)の麓にある「遠野市立博物館」を訪れたい。1980(昭和55)年に開館した日本で初めての民俗専門の博物館で、遠野の人々の自然や暮らし、文化、歴史を、日本の民俗学の先駆けとなったとも称される『遠野物語』*を軸に多彩な映像や展示で紹介されている。
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補足情報

*鍋倉城跡:鍋倉城は天正年間(1573~1591年)、阿曽沼氏の築城と伝えられ、阿曽沼氏没落後の1627(寛永4)年、八戸から南部直義が入部し、240年余りにわたって遠野南部氏12,500石の居城となった。1869(明治2)年に廃城となり、現在は都市公園として整備されている。本丸には鷲の尾、御衣黄、普賢象、泰山府君、松月など様々な種の桜が植えられており、桜の名所となっている。
*遠野物語:柳田国男が1910(明治43)年に発表した、岩手県遠野地方に伝わる逸話、伝承などを記した説話集。