大槌町は、岩手県東端、陸中海岸国立公園のほぼ中央に位置し、北は山田町、南は釜石市、西は遠野市、宮古市に接している。東は陸中海岸の大槌湾、船越湾に臨む。三陸鉄道リアス線、国道45号が通じる。
 大槌湾内の安渡は良港として古くから開発された。室町時代から江戸時代の草創期頃まで大槌氏による統治が続き、大槌孫八郎は名産である鮭を塩引き(新巻)にして江戸に送り、「南部鼻曲がり鮭」として人気を博したと伝えられている。1618(元和4)年に大槌氏が滅亡後は、大槌代官所が現在の大槌町役場のあたりに設置され、明治時代に廃止されるまでの約240年間、代官所体制が続いた。近世には盛岡藩最大の廻漕問屋前川善兵衛(吉里吉里善兵衛)の海産物や木材などの江戸・大阪との取引の基地となった。また、金沢金山の採掘・精錬の様子が、金沢の絵師、佐々木藍田の絵巻等よって伝えられている。
 三陸沖合は、世界三大漁場のひとつ。大槌漁港を中心に、ホタテ、ワカメ、ノリ、カキの湾内養殖が盛ん。大槌川、小槌川は南部鼻曲サケの産地。1909(明治42)年には町営サケ・マス孵化場をつくり、以来、稚魚放流を続けて安定した採捕数の向上に努めている他、東京大学大気海洋研究所国際沿岸海洋研究センターがあり、サケ稚魚の追跡調査などを行っている。
 片寄せ波で知られる浪板海岸は三陸復興国立公園(旧、陸中海岸国立公園)の一部。奈良・平安時代の鍛冶工房跡や新潟県糸魚川市姫川上流でしか産出されない「翡翠」の垂飾りが発見された夏本遺跡がある。

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