鉛温泉なまりおんせん

大沢温泉の上流4km、豊沢川に臨む静かな山間の温泉。JR花巻駅より岩手県交通バス利用、「湯口線・新鉛温泉」行で約30分、「鉛温泉」下車。東北自動車道花巻南ICより約20分。
 宝暦年間(1751~1764年)の発見と伝えられる歴史ある温泉。南部藩主も来浴したといわれる。加熱、加水、循環させない完全源泉100%の掛け流しであり、白猿の湯、桂の湯、白糸の湯、銀の湯の4つの浴場がある。田宮虎彦*の小説『銀(しろがね)心中』*の舞台にもなった。
 全国的にもユニークな湯船が「白猿の湯」で平均1.25mの深さがある「立ち風呂」は、足元湧出の温泉で、日本一深いといわれている。混浴であるが、女性専用時間が設けられている。
#

みどころ

歴史を感じる建物、豊富な湯量で知る人ぞ知る名湯の一軒宿。名物の立湯「白猿の湯」は、なんと足元から温泉が湧いてくる。約1.25mの深さは想像以上の深さで、小柄な方は要注意。全国を見てもとてもユニークな温泉である。男女混浴ではあるが、女性専用の時間が設定されているのは嬉しい。
#

補足情報

*田宮虎彦:1911(明治44)年~1988(昭和63)年。小説家。東京生まれ。庶民的なヒューマニズムに貫かれた多くの作品を書いた。太平洋戦争中の暗い谷間時代に取材した半自伝的作品『菊坂』『絵本』『足慴岬(あしずりみさき)』等がよく知られている。
*銀心中:戦争で夫を亡くした(はずの)妻が年下男性と結ばれた後、復員した夫が戻って来る。しかし妻は夫から逃げ銀温泉に年下男性を追って来るが、思いを遂げられず心中する という激しい恋愛を描いた文芸作品。