北山崎きたやまざき

岩手県沿岸北部、田野畑村の北東端にあり、陸中海岸の代表的な景観で、隆起した海岸が荒波に削りとられて、ほぼ垂直に切り立った崖が形作られた隆起海岸である。高さ約200mの大断崖が連なる「北山崎」は、日本の海岸風景の中で最も迫力のある海岸美を誇り、弁天崎~北山崎~黒崎の間は断崖が連続していることから海のアルプスともよばれている。大海蝕崖に、海面にそびえ立つ奇岩、大小さまざまな海蝕洞窟と、変化に富んだ海岸が約8kmにわたって続く。上から眺める展望台の他に階段を736段下ると海面際に降りることができる。海上から眺めるには島越から遊覧船を利用するとよい。
 岩肌をむき出した断崖は赤松の疎林やハイビャクシンの緑に彩られ、絶壁の下には巨岩や海食洞門が散らばる。北山崎の南の遊歩道周辺にシロバナシャクナゲの群落があり、6月の開花期には白い花が咲き乱れる。
 北山崎には展望休憩舎・駐車場などが完備し、突端まで遊歩道があり迫力に満ちた海岸線を一望できる。島越の北、羅賀・平井賀一帯には化石断層*がある。
 明戸海岸~北山崎~黒崎の間には、波打ち際から200mの断崖上部までとアップダウンのある自然遊歩道が整備されており、環境省の「みちのく潮風トレイル」のコースにもなっている。
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みどころ

海にせり出す展望台からの眺望は、息を呑む素晴らしさで、まさに景勝地である。北山崎の魅力は類まれな景観だけではなく、机浜番屋群やサッパ船といった自然と向き合った人間活動の関わりにある。これをツーリズムに活用した取組みもある。東日本大震災による津波で机浜番屋群はすべて消失してしまったが、新たな施設が再建され、番屋料理体験や漁師(ハンモウド)の塩作り体験施設として活用されている。大自然と共に生きぬく現在進行形の地域の人々の暮らしを体験を通じて感じてほしい。
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補足情報

*化石断層:広範囲にわたって白亜紀の断層が露出し、縞模様を見せる。この一帯は化石の宝庫で、500種類の化石が発見されている。
*三陸海岸は、太平洋に面する延長約708kmの変化に富んだ海岸線。宮古市から南は極めて入り江の多いリアス式海岸であり、北は隆起海岸で海食崖や海岸段丘が発達していて、対照的な景観を見せている。
*やませは、北海道や東北地方、関東地方で梅雨や夏に吹く冷たい北東寄りの風。冷たく湿ったオホーツク海気団からの北東気流で、もともと冷湿なうえ、霧を伴うために日照量が不足し、農作物への被害が大きくなることがある。