愛媛県
印刷する国道は四国縦貫の松山自動車道、芸予諸島を結ぶ西瀬戸自動車道(瀬戸内しまなみ海道)が通じる他、香川県から工業地帯を経る11号線、山間部を33号線、沿岸部を56号等が通じる。JR予讃線も走る。また、本州、九州を結ぶフェリーが運航されている。
高知県境には日本最高値のカルスト地形である大野ヶ原がある。高縄半島の一部及び島嶼は瀬戸内海国立公園、宇和島海岸が足摺宇和海国立公園に含まれる。また、西日本最高峰の石鎚山があり、石鎚国定公園域となっている。瀬戸内海・宇和海には200余りの島々があり、海・山両方の美しい自然に恵まれている。
全般に温暖。瀬戸内海沿岸は冬も暖かく、島嶼部では冬の季節風に加えて瀬戸内海の特色である朝凪・夕凪現象があり、特に夏の夕凪現象は「伊予の夕凪」と言われるほどで非常に蒸し暑い。宇和海沿岸も温暖で亜熱帯植物が自生している。一方で四国山地は夏は冷涼、冬は寒く積雪もみられ、年間降水量が3,000mmを超える場所もある。
17世紀前半に成立した伊予八藩が1871(明治4)年の廃藩置県で8県となり、1873(明治6)年に石鉄県と神山県が合併して愛媛県が成立。1876(明治9)年には香川県が合併したが、1888(明治21)年にふたたび香川県が分離して現在の愛媛県になった。古事記上巻のイザナギとイザナミによる国生みの神話に出てくる「伊予国を愛比売と謂う」から県名が「愛媛」とされ、全国で唯一神名をつけた県である。
近代工業は瀬戸内海沿岸地域に発達し、タオル、縫製、紙などの地場産業から成長した資源型の重化学工業が多い。また、陶石を原料とした磁器生産に特色があり四国最大の陶磁器である砥部焼が代表的である。農業は中部・南部の沿岸傾斜地の柑橘類の栽培が代表的で、内陸では稲作やクリ、タバコ栽培が多い。林業は四国山地の山林地帯であることから盛んで杉、檜の良材を算出している。水産業は瀬戸内海沿岸ではヒラメ、カレイ、イワシ、カツオ、サバ等の漁獲が多い他、真珠、ハマチ、真鯛の養殖が全国有数の生産を誇る。
大山づみ神社、村上水軍、松山城、道後温泉、内子町をはじめとする南予の古い町並み等、多くの文化が伝えられている。山岳信仰の霊峰である石鎚山や、岩屋寺等の名刹も多い。遍路への茶の接待や地区の人々の憩いの場としての茶堂(国の選択無形民俗文化財)も数多く残る。