松山城まつやまじょう

松山城は松山市の中心地、城山(勝山)山頂に本丸があり、裾野に二之丸(二之丸史跡庭園*)、三之丸(堀之内)がある、広大な平山城である。加藤嘉明(かとうよしあき)が1602(慶長7)年に築城開始。1635(寛永12)年、松平定行が入封し、3年をかけて本壇を改築し三重の連立式天守を築造した。その後、1784(天明4)年、天守が落雷で焼失し、1852(嘉永5)年、再建された天守が現在も残っている。創建時のままで残るのは、乾櫓(いぬいやぐら)・野原櫓・隠門・石垣の一部などわずかで、天守は1852(嘉永5)年、小天守・多聞櫓・南北隅櫓などは1968(昭和43)年の再建である。また1979(昭和54)年に天神櫓、1982(昭和57)年に乾門、1984(昭和59)年に艮(うしとら)門・同東続櫓が再建された。
 松山城一帯は公園となっており、約200本の桜が咲き誇る桜の名所である。
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みどころ

松山城は、江戸時代以前に建造された天守を有する現存12天守の一つで、また天守を含めて21もの重要文化財があり、四国屈指の名城として名を馳せ、往時の優雅さを偲ばせている。中でも、望楼型二重櫓である野原櫓(のはらやぐら)は、日本で唯一松山城にのみ現存しており、ここでしか見られない貴重なものである。また、現存12天守の城郭では松山城と彦根城しか存在が確認されていない、韓国の倭城の防備手法である「登り石垣」が二之丸から本丸にかけてあり、こちらも注目したい。
 山頂にあることから、松山市街地から松山城を見上げることができ、今日の松山城は、市民の生活を見守り、ともに街の歴史を歩んできた松山市のシンボルとなっている。山頂付近まではロープウェイ運行されており、天守からは松山平野を360度見渡せることができる。その眺めは正に絶景で、松山市街を一望できるほか、天候に恵まれれば、西日本最高峰の石鎚山(いしづちさん)や瀬戸内海に浮かぶ島々なども見ることができる。城主気分で、瀬戸内の大パノラマを満喫したい。桜の名所としても有名であり、ソメイヨシノ以外にも、早咲きのツバキカン桜や遅咲きのオオシマ桜、シオガマ桜、ボタン桜等もあることから、比較的長い期間桜を楽しめる。
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補足情報

*松山市制百周年記念事業の一環として整備された二之丸史跡庭園は、2013(平成25)年に恋人の聖地として認定されている。