内子の町並みうちこのまちなみ

内子の町並みは、町中心街の北に約600mにわたって続く「内子町八日市護国伝統的建造物群保存地区」を中心にして広がる。現在残る町並みは、幕末から大正頃にかけて造られたもので、桟瓦葺(さんがわらぶき)の大屋根、漆喰となまこ壁に美しく調和する出格子(でごうし)や破風飾など、豪壮で重厚な造りに往時の面影を偲ばせている。
 一方、八日市町並みの入口付近にある町家資料館は1793(寛政5)年建築の町屋を復元修理したもので、吊り上げと摺り上げの2種類の板戸を使用した蔀戸(しとみど)や、箱階段、明かりとりの虫籠窓(むしこまど)など、当時の建築様式がみられ、1階奥の間には箱膳なども展示され、当時の食事風景を再現している。
 また、木ろう資料館・上芳我邸は、製ろう業で栄えた商家の一つで、主屋は1894(明治27)年に建築され、外部は重厚な漆喰壁でおおい、なまこ壁や弁柄塗の格子が美しい調和を見せている。1階は土間と座敷、2階は広い板の間で一部座敷、3階の屋根裏部屋は構造物が一望でき圧巻である。また、坪庭を囲んで、炊事場、離座敷などが立ち並び、豪邸の風格を感じさせている。
#

みどころ

町並歩きの醍醐味は、多彩な意匠を発見することである。木ろう生産で財を成した豪商の屋敷である重要文化財の本芳我家住宅では、建物の随所に漆喰を使った「鏝絵(こてえ)」、屋根の妻の部分に施される装飾である「懸魚(げぎょ)」、漆喰の壁が雨で流れるのを防ぐ役割を持った「海鼠壁(なまこかべ)」、弁柄で塗られた重厚な出格子などの上質な意匠を見ることができる。
 一方、内子町は木ろうで栄えた町であるが、木ろうの原料はウルシ科ウルシ属の落葉樹である「ハゼノキ」の実である。同町では「伊予式ろう花箱晒し法」が考案され、晒ろうの大量生産が可能になったことが産地化した一因といえる。また、木ろう資料館・上芳我邸では、木ろう生産の工程を紹介した展示棟もあり、豪商の暮らしや木ろう産業などについても学ぶことができる。
関連リンク 内子町(内子町役場)(WEBサイト)
参考文献 内子町(内子町役場)(WEBサイト)
内子内さんぽ(内子町役場)(WEBサイト)
『四国 内子紀行』

2022年11月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。