名勝 天赦園めいしょう てんしゃえん

天赦園は1866(慶応2)年 宇和島藩第7代藩主伊達宗紀(むねただ)の隠居所の庭園として建造した、11,240m2の面積を有する池泉廻遊式(ちせんかいゆうしき)庭園で、国指定名勝である。
 名前は、伊達政宗が隠居後詠んだ「馬上に少年過ぎ 世は平にして白髪多し 残躯は天の赦す所 楽しまずして是を如何せん」という漢詩に由来し、 書院式茶亭である潜渕館(せんえんかん)は、大正11年、昭和天皇陛下が皇太子のころ、天赦園御成の際の御座所にあてられたこともある。
 園内には伊達家の家紋「竹に雀」にちなみ、様々な珍しい種類の竹が池を巡るように植栽されている。また、伊達氏は藤原氏の流れであることにちなんで藤*が集められている。花菖蒲の種類も多く、6月上旬の花期は見事である。
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みどころ

多くの藤棚があり、中でも池上にかかる太鼓橋式の藤棚を彩る白玉藤は、この園ならではの風景となっている。
 牛の姿に似た臥牛石や起牛石、虎のような虎吠石、船の係留に使用された珍しい形の海石などが庭園内に配置されており、竹林を背景に静かな佇まいを見せている。
 伊達家ゆかりの庭園であり、藩政時代の歴史や、仙台と宇和島との繋がりなどを踏まえて訪れると、より風情が味わえる。
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補足情報

*藤:伊達家の先祖は藤原鎌足であるといわれる。藤は4月中旬~下旬が見頃。