外泊「石垣の里」そとどまりいしがきのさと

愛南町外泊は、幕末から明治時代初期にかけて隣の中泊地区からの分家の移住によってつくられた集落で、入り江に面した急斜面に、高い石垣をめぐらした家々が、山の中腹までひしめき合うように立ち並んでいる。石垣は台風や冬の北西季節風による潮害を防ぐために造られたもので、軒に達するほどの高さがあり、独特の景観を造りだしている。この集落はその景観から石垣の里として知られており、山の斜面を切り開いて段を重ねた宅地の造成やその周りの石垣積みの作業は全て入居住民の手による。
 もともと住民の多くは漁業を営んでいたが、家の中からでも海や港の様子が分かるように、台所の窓に接する海側の石垣には石積みの際に小さなくぼみがつくられており、「遠見の窓」と呼ばれている。
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みどころ

石垣の集落の中は幅の狭い通路で結ばれている。海際の平坦な場所には公衆トイレの付いた休憩所が設置されており、その周辺の駐車場に車を停め、石垣の間を縫うように細い路地を登っていくと、家々を碁盤の目に仕切るように石畳の小道が整備されている。坂道の途中で横道に入ると高い石垣に視界を遮られて一瞬迷路にさまよいこんだような気分になるが、至る所の石垣の上に、小石に彩色を施した手作りのひな人形が設置されていたりするのを見ると心が和む。また、集落のところどころから石垣の里の眼下に広がる美しい入り江や漁港を眺めると坂道を登ってきた疲れも吹き飛ぶ。
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補足情報

*だんだん館:集落の中心部に憩いの場、観光の拠点として整備されており、海を眺めながら食事もできる。