今治市は、愛媛県北東部・瀬戸内海のほぼ中央に位置し、高縄半島の北東部および芸予諸島の南半分の島嶼からなる。陸地部は南西を松山市、南を東温市、南東を西条市と接し、島嶼部では北及び西を広島県、東を上島町と接している。
 JR予讃線が通じる。国道は196号、317号、今治小松自動車道が通じる。1999(平成11)年には本州と結ぶ瀬戸内しまなみ海道(西瀬戸自動車道)が大三島、伯方島、大島などを経由して開通した。
 中心市街地がある平野部、緑豊かな山間部、瀬戸内しまなみ海道、安芸灘とびしま海道が架かる世界有数の多島美を誇る島嶼部からなり、変化に富んだ地勢となっている。
 古くから瀬戸内海の海上交通の要所であったことから平安時代以前は伊予国国府が置かれ、東予地方の政治、経済、文化の中心地として発展。古くは今針、今張などと記されたが、1604(慶長9)年に築城完成させた藤堂高虎が今治城として以降、この名が用いられている。
 今治平野は肥沃な農業地帯。伊予木綿の産地で全国有数のタオル工業都市である。島嶼部ではミカンなどの柑橘類の栽培や漁業、海運業が盛ん。この他、大島の石材、伯方の製塩、菊間の瓦なども知られている。来島海峡には機帆船時代の造修船業が発展した中型造船所が集中し、輸出船の建造が多い。今治港は瀬戸内海沿岸の有数の商業港で最近は海陸交通の流通拠点施設が建設されている。
 来島は芸予諸島を中心に勢力を誇った村上水軍の根拠地の一つ。無人島である能島には村上水軍の本拠地として知られる能島城跡が残る。大三島の大山祇神社は伊予国一宮で本殿は国宝で、源頼朝などの武将により多くの武具が奉納されている。境内のクスノキ群は国指定天然記念物。この他、国宝の伊予国奈良原山経塚出土品(玉川近代美術館保管)、国指定史跡の伊予国分寺塔跡等がある。

観光資源一覧

瀬戸内海の多島海景観の写真

瀬戸内海の多島海景観 (広島県 広島市 / 岡山県 倉敷市 / 愛媛県 今治市 / 香川県 直島町 / 徳島県 )

瀬戸内海は、本州西部、四国、九州に囲まれた日本最大の内海で、東西およそ450km、南北15~55 km、面積23,203km2である。灘や湾と呼ばれる広い部分が、瀬戸や海峡と呼ばれる狭い水路で連結された複雑な構造を持つ。平均水深が38.0mと非常に浅い海だが、瀬戸や海峡では水深100mを超える。700以上の島(有人島は約150)がある多島海...

来島海峡の潮流の写真

来島海峡の潮流 (愛媛県 今治市 )

今治市とその沖に位置する大島の間の幅5km弱の海峡。「一に来島、二に鳴門、三とさがって馬関瀬戸(ばかんせと)」とうたわれる海の難所で知られ、鳴門海峡・関門海峡と並ぶ日本三大急潮流の一つである。来島海峡は、1日に平均約1000隻もの船が通る日本有数の交通量の多い海峡で、中水道では最大10ノット(時速約18km)の流れとなって、渦潮...

大山祇神社の写真

大山祇神社 (愛媛県 今治市 )

大山祇神社は天照大神の兄である大山積大神を祀り、全国に一万社余りある山祇神社と三島神社の総本社といわれる愛媛県内最古の神社である。海の神や山の神として古代から日本総鎮守として尊称されており、多くの武将が祈願してきた。  大山祇神社の本殿、拝殿は国の重要文化財に指定され、格式高く、立派で厳かな雰囲気が感じられる。また...

今治城の写真

今治城 (愛媛県 今治市 )

関ヶ原の戦いでの戦功により伊予半国20万石を領した藤堂高虎が、瀬戸内海に面した海岸に築いた大規模な平城。香川高松城、大分中津城と並んで「日本三大水城」の1つに数えられる海の城。海砂が吹き揚げる海辺につくられたため、別名として吹揚城(ふきあげじょう)とも呼ばれる。  1602(慶長7)年に築城を始め、建造物も含めて完成したの...

今治造船風景の写真

写真提供:今治造船株式会社

今治造船風景 (愛媛県 今治市 )

世界に名高い「造船長屋」と称され造船所が立ち並ぶ今治市波止浜湾には、来島海峡の急潮を航行する船が潮待ちで数多く立ち寄り、その間に修理を行ったことから、船舶修繕を中心に今治市の造船業が発展したといわれている。  造船業の中核となる今治造船(株)の創業は1901(明治34)年で、今治市周辺の造船所を統合して設立した。その後も...

陸軍芸予要塞来島要塞の写真

陸軍芸予要塞来島要塞 (愛媛県 今治市 )

今治市波止浜港から渡船で10分の来島海峡に浮かぶ周囲3kmの小島にある。日露戦争(1904(明治37)年~1905(明治38)年)当時、大日本帝国がロシア艦隊の来襲に備えて造られた芸予要塞がそのまま残っており、砲座跡、展望司令塔、赤レンガの地下兵舎、弾薬庫などが点在し、ツバキ並木の遊歩道で結ばれている。  芸予要塞は1922(大正11)年...

瀬戸内しまなみ海道(橋梁群)の写真

写真提供:本州四国連絡高速道路株式会社

瀬戸内しまなみ海道(橋梁群) (愛媛県 今治市 / 広島県 尾道市 )

広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ西瀬戸自動車道の橋の愛称。自転車歩行者道、原付道が整備されており、海峡を横断して、自転車や徒歩でも渡ることができる。なお、新尾道大橋は、自動車専用道となっていることから渡船または隣接する尾道大橋を利用することとなる。橋や島々を含む付近一帯が、広域観光圏となっている。  新尾道大橋は、...