高知県
印刷する太平洋を臨む海岸線は長く、西部はリアス式海岸、東部は隆起海岸で平坦な砂浜が続く。県域の大部分は四国山地で占められ、平野に乏しい。四国山地中央部で吉野川上流部が縦谷を形成するほか、四万十川、仁淀川、物部川、奈半利川などの河川が流れ、吉野川以外はいずれも土佐湾に流入している。
気候は、温暖な海洋性気候、山間部の内陸性気候、また、多雨気候、低温で雪の降る日本海側の気候、風の強い岬の気候など変化に富んだ特性を持っている。
「とさ」の呼称は、古くから国産みの神話のなかで、土佐国建依別とよばれ、雄々しい男の国とされている。戦国時代には七雄が並び立ったが、長宗我部氏が土佐を統一、その後、関ヶ原の合戦で西軍に味方して破れた長宗我部氏に代わって、1601(慶長6)年、山内一豊が土佐二十四万石の国主として入国した。幕末には、坂本龍馬など多くの志士を輩出。明治維新には板垣退助などが自由民権運動を起こし、「自由は土佐の山間より」とうたわれるようになった。
産業は、農業ではナス、キュウリ、ピーマン、シシトウ、メロン、スイカなどの施設園芸の他、早掘りサツマイモ、ニラ、ショウガなどが栽培されている。また、山間部では、奈半利川流域のユズ、仁淀川流域の茶、四万十川流域のシイタケ栽培などが行われる他、用材産地となっている。水産物では、古くからカツオ漁は捕鯨業とともに土佐を代表する漁業の中心で、現在のカツオ漁は近海一本釣りが中心。沿岸漁業はシラス網漁業、宿毛湾・野見湾などのハマチ養殖等が行われる。
観光では、毎年8月に行われる「よさこい祭り」は1954(昭和29)年から始まり、多くの人を集める。自然公園には、四国南端部にあり豪壮な断崖をみせる足摺岬や、隆起海食台の竜串・見残の景観が中心の足摺宇和海国立公園を始め、四国南東端にあり足摺岬と相対する室戸岬を中心とする室戸阿南海岸国定公園等がある。
国史跡に高知城跡(高知市)、土佐国分寺跡(南国市)、比江廃寺塔跡(南国市)、宿毛貝塚(宿毛市)、不動ガ岩屋洞窟(佐川町)などがある。「杉の大スギ」(大豊町)、ミカドアゲハとその生息地(高知市)や、土佐のオナガドリ(地域を定めず)等の特別天然記念物、豊楽寺薬師堂(大豊町)、金銅荘環頭大刀拵大刀身(日高村小村神社)、古今和歌集巻第廿(高野切本)(南国市・県立歴史民族資料館)の3件の国宝をはじめ、多くの文化財を有する。