四万十市は、県南西部の幡多地域のほぼ中央に位置し、南東部は太平洋に面する。宿毛市、土佐清水市、四万十町、三原村、黒潮町、愛媛県宇和島市、松野町と接する。
 「日本最後の清流」とも呼ばれる四万十川(渡川)の中流及び下流域にあり、川は市域のほぼ中央を南下し、土佐湾に注ぐ。北部山間地では四万十川本流や後川沿いなどに、南部では中筋川低地を主とした中村平野に耕地がみられる。JR予土線、土佐くろしお鉄道、国道56号、321号、381号、439号、441号、中村宿毛道路が通じる。
 歴史は古く、旧中村市地区の中村は県西部の幡多地方の中心で中村貝塚や入田遺跡等が残る。室町時代には前関白一条教房公が応仁の乱を避けて当地に下向して京都を模したまちづくりを始めたことから、「土佐の小京都」と呼ばれている。江戸期の山内藩政時代には養蚕や楮や三椏などの原料を活かした製紙業、大正から昭和30年代前半ごろまでは豊富な山林資源を活かした薪炭の製造が盛んだった。四万十川は地域の物流の主軸として機能し、四万十川下流では舟母、中流では高瀬舟やセンビなど目的に応じた多様な川舟が往来していた。また、四万十川河口左岸に位置する下田地区は、中世から高知県西南部の重要な港で物資・文化の移出入の拠点であり、地域経済を大きく発展させた。
 現在、産業では、米作、ナス、ショウガなどの施設園芸の他、ナシ、ユズ、クリなどの栽培、中筋川低地ではイグサ栽培が行われる。林業は用材、パルプ材を生産する。
 観光では、国指定重要文化財の不破八幡宮社殿、国指定天然記念物の八束のクサマルハチ(シダの一種)自生地があり、四万十川の支流黒尊川上流にはブナの原生林がみられ、県鳥のヤイロチョウの繁殖地となっている。トンボ自然公園、四万十川学遊館、市立郷土資料館、カヌー館などがある。

観光資源一覧

四万十川の写真

四万十川 (高知県 四万十市 / 高知県 四万十町 / 高知県 )

全長196km、流域面積2,186km2、支流総数は319を数える渡川(わたりがわ)水系本流の一級河川。清流、鮎の漁場として名高い。また代表的な景観として増水時に水中に沈むように設計された欄干のない沈下橋がかかる風景も知られている。  津野町の不入山(いらずやま、1,336m)東斜面が水源とされる東側の本流と最大支流の西側の梼...