室戸岬むろとみさき

高知市から車で2時間弱。土佐湾の東端、室戸市の最南端。古くはむろとざき(室戸崎)。1927(昭和2)年に日本新八景として注目され、1928(昭和3)年に「室戸岬亜熱帯性樹林および海岸植物群落」が国の天然記念物、ついで国の名勝「室戸岬」の指定をうけた。
 亜熱帯性樹林のなかでも目をひく存在としてアコウの林が紹介されている。たこの足のような根が岩肌を抱きしめているように見える。室戸の強風に耐えるための特徴という。2011(平成23)年、室戸市全域ー地形的には岬を突端に逆三角形の陸地一帯ーが、室戸ユネスコ世界ジオパークに認定された。東部にジオパークセンターが置かれ、地質・地形、植生、またそれら自然条件に適応してきた人々の営みについての展示解説やジオパークセンターを拠点としたガイド付きツアーが充実した。
 海沿いは国道55号=土佐東街道が走っていて、岬付近には駐車場が幾つか、また道路沿いところどころに車を寄せて降りて海を望める場がある。東街道南側には岬突端付近から北上する約2.6kmの乱礁(らんしよう)遊歩道が整備されており、徒歩で降りていって岩礁や亜熱帯性樹林に親しむことができる。室戸岬の展望台は岬後方台地上のスカイライン山頂展望台、国道沿い北側の建物か中岡慎太郎*の銅像後方の坂道をのぼっていく展望台がある。岬突端岩礁部には入り江の浅瀬ができていて親子連れで海の生き物の観察をするのにも適している。四国霊場八十八ケ所第24番札所の最御崎寺が岬後方の高い位置にあり、室戸岬スカイラインで上っていける。この境内手前の駐車場付近からも太平洋が広がる良い景色が望める。
#

みどころ

外海に突き出た位置にある室戸一帯は、陸と海が出会う場、約5千万年前から現在にかけて新しい大地が形づくられてきたフロンティアである。室戸岬灯台は「白亜の灯台」といわれてきた室戸岬のシンボル。1899(明治32)年初点灯という、光度190万カンデラ、光達距離56kmの1等燈台。周囲にはウバメガシ・トベラ・アコウなどが繁茂している。内部の見学はできないが、岬の眺めがよい。
 岬が古くからの景勝地としても知られるが、今日この土地の観光を満喫するならば、少し時間をとってジオパークセンターの展示やガイドを通じて地球のダイナミックな営みを学び、大地の魅力を満喫したい。
 また、この辺りは弘法大師空海の青年時代の修行地であったという。大師の修行の場とつたわる御厨人洞(みくろど)や、神明窟(しんめいくつ)、冥土まで叩いた音が届くという「鐘石」などを、室戸三山(24~26番札所の最御崎寺、津照寺、金剛頂寺)とともに見てまわりたい。
#

補足情報

*中岡慎太郎:1838(天保9)~1867(慶応3)年。坂本龍馬とともに活動し、京都近江屋で暗殺された勤王の志士。銅像は太平洋を見つめている。
関連リンク 室戸市(WEBサイト)
参考文献 室戸市(WEBサイト)
室戸ユネスコ世界ジオパーク(WEBサイト)
『室戸観光ガイドブック』パンフレット 一般社団法人室戸市観光協会
『高知県の歴史散歩』高知県高等学校教育研究会歴史部会 (編集) 山川出版社

2023年04月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。