土佐神社とさじんじゃ

JR土讃線土佐一宮駅から北へ徒歩15分。県道384号から少し奥まったところに見える門が参道の入口。社殿に向かって真っすぐに伸びる参道の並木、社殿背後の「志那祢(しなね)の森」が神域を縁取り、俗との境界となっている。
 勅使の参向を重ねて迎えていた式内社(都佐坐神社)にして、鎌倉時代には神仏習合となり、土佐国総鎮守の一ノ宮と称えられた。その始まりは、古代に自然石(境内「礫石(つぶていし)」)を磐座とし祭祀したとも言われる。現社殿は1570(永禄13・元亀元)年に長宗我部元親が再建したもの。上からみた社殿の形状が弊殿を頭とし拝殿が長くせりだした十字形で本殿に向かってとんぼが飛び込むようであることから「入りとんぼ式*」と言われ、凱旋を報告する場との意味が込められたとも言われている。
 地元の人は「しなね様」と呼んでいて、夏祭り「しなね祭」(8月24・25日)は当地の風物詩であるとともに、皆のこども時代の思い出という。
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みどころ

本社に続く300mほどの参道は、左右に桜やもみじの並木があり美しくみえる。正面奥には、本殿、幣殿及び拝殿、鼓楼、楼門など国の重要文化財の建築物が立ち並ぶ。長曾我部元親の再建した幣殿・拝殿は左右に翼拝殿を設けた「入りとんぼ式」で、神社建築としては珍しい形のひとつ。同じく元親による若宮八幡宮(高知市長浜)の出とんぼと対で、出とんぼの社で戦勝祈願し、入りとんぼの社に凱旋報告という位置づけであったらしい。
 社殿の奥に広がる志那祢の森は、都市部に残る貴重な森。社殿の周りをぐるっと一周する「志那祢の森めぐり」コースも設定されている。
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補足情報

*入りとんぼ式:本殿・拝殿を幣殿がつなぎ十字形の蜻蛉の形をなすうち、拝殿が前に長くのびた様態のものをとんぼが戻ってきて着地した(奥にある本殿が頭側)と見立て、入りとんぼという。出とんぼは、幣殿が長く拝殿が頭部に見立てられ、これから飛び出していく恰好。出蜻蛉に戦勝祈願し、入りとんぼに戦勝報告がなされたともいう。
関連リンク 土佐一ノ宮 土佐神社
参考文献 土佐一ノ宮 土佐神社
高知市WEBサイト
『高知県の歴史散歩』 高知県高等学校教育研究会歴史部会=編 山川出版社
土佐一ノ宮土佐神社社報第14号志那祢

2023年05月現在

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