黒潮町は、県南西部に位置し、西は四万十市、北東部は四万十町に接している。東から南にかけては土佐湾に面する。
 北東部を伊与木川、南部を蜷川、湊川、蛎瀬川などが南流して土佐湾に注ぐ。東部は伊与木川沿いの低地をのぞくと山地である。伊与木川河口の佐賀港周辺は鹿島ヶ浦と呼ばれ、土佐西南大規模公園に含まれる。沖合いの鹿島は原始林で覆われ、全島が県の自然環境保全地域。
 土佐くろしお鉄道中村線が若井ループトンネルを通過して、国道56号が北の窪川台地から片坂峠を経てそれぞれ町内に入り、おおむね海岸部沿いに町域を縦貫する。
 当地は元弘の乱(1331年)に敗れた後醍醐天皇の皇子尊良親王(たかながしんのう)の流刑地であり、親王関係の史跡がある。佐賀港は近世には土佐湾捕鯨地の一つとなっていた。
 佐賀地域は古くからカツオやブリ漁が盛んで、現在も「土佐カツオ一本釣り漁業」が行われ、近年は完全天日塩も代表的な特産物となっている。入野、田野浦などの漁港ではシラス漁などが行われる。この他、大方地域ではキュウリや花卉等の施設園芸や水稲を中心に、玉ラッキョウ栽培、シメジやシイタケ栽培が行われている。
 海岸には、戦国時代に始まる防潮保安林の入野松原が3kmにわたって続き、国指定名勝となっている。そのほか、式内社加茂神社、大方出身の作家上林暁を記念した「大方あかつき館」などがある。他にも、「ホエールウォッチング」、「天日塩づくり」、「カツオのタタキづくり」などの体験型観光と土佐西南大規模公園を活用したスポーツツーリズムを推進。また、『私たちの町には美術館がありません。美しい砂浜が美術館です。』をコンセプトに、4kmの砂浜を「美術館」に見立て、「美しい松原」や沖に見える「くじら」、流れ着く「漂流物」など全てを作品とした砂浜美術館があり、春には「Tシャツアート展」や「シーサイドはだしマラソン」、冬には「漂流物展」などほぼ一年中何かを見たり、遊んだり、楽しむことができる。

観光資源一覧

土佐湾のクジラの写真

写真提供:(一社)土佐市観光協会

土佐湾のクジラ (高知県 室戸市 / 高知県 土佐清水市 / 高知県 黒潮町 / 高知県 土佐市 / 高知県 高知市 )

近世から高知県東部の室戸を捕鯨基地に古式漁が行われてきた。1989(昭和64・平成元)年以降、湾中部から西部にかけてニタリクジラを対象としたホエールウォッチングが盛んになったという。土佐湾のニタリクジラは東シナ海系群に属し、夏季に九州南西部の沿岸を経て土佐湾まで移動する個体と春先から夏季にかけて土佐湾に来遊し同湾内に滞留...