四万十川しまんとがわ

全長196km、流域面積2,186km2、支流総数は319を数える渡川(わたりがわ)水系本流の一級河川。清流、鮎の漁場として名高い。また代表的な景観として増水時に水中に沈むように設計された欄干のない沈下橋がかかる風景も知られている。
 津野町の不入山(いらずやま、1,336m)東斜面が水源とされる東側の本流と最大支流の西側の梼原川が並行して南下、多くの渓流支流を集めながら蛇行し、窪川で本流が北西へ向かい、旧大正町で合流する。上流はブナ林に貯えられた水が渓谷を下り、中流では自然河岸のあいだを流れ、下流ではゆるやかな大河が四万十市を貫流して太平洋に至っている。河口の町は、幡多地方の小京都といわれる中村。
 高知、愛媛2県にまたがる流域の土地利用は、山地が約95%、農地が約4%、宅地等の市街地が約1%(2008(平成20)年国交省資料)。中流から下流にかけてはクリの栽培が盛んで川沿いにところどころ栗林が望める。流域や周辺の渓流は鮎やアメゴなどの川魚が太公望を魅了。四万十川河口周辺の広大な汽水域は海産魚を含む多くの魚や動植物を育み、天然のスジアオノリは特産品。四万十川には全国的に希少になった伝統的な川漁が受け継がれている。上中流域の森でアカショウビン、ヤイロチョウなど国内では珍しい野鳥を見ることができる。
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みどころ

屋形船や舟母(せんば=明治中頃から大正・昭和にかけて四万十川流域の交通・物資運搬に使われた帆のある舟)の遊覧船で、水上から川の景色、船主らが教えてくれる川と人々の暮らし、伝統的な川漁のことなどをゆったりと楽しみたい。沈下橋は、台風のよく通る土地の気候への対抗策である。中流域には主にカヌーやラフティング、キャンプなどのアウトドア拠点施設や温泉がある。藩政時代の山村農家の姿をとどめる茅葺き・寄木造の旧竹内家住宅は国重要文化財。梼原川支流払川には高さ20mのかつて木材運搬トロッコの軌道橋であっためがね橋が残る。
関連リンク 国土交通省四国地方整備局中村河川国道事務所(WEBサイト)
参考文献 国土交通省四国地方整備局中村河川国道事務所(WEBサイト)
国土交通省(WEBサイト)
『渡川水系の流域及び河川の概要(案)』資料 国交省河川局H20
『四万十川見聞録』高知県文化環境部四万十川流域振興室 高知県立図書館所蔵

2023年02月現在

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