柏島かしわじま

高知県西南端、足摺宇和海国立公園内。宿毛湾口にある周囲4km、面積0.6km2の島で、大月半島と橋で結ばれている。島の沿岸は南からの暖流黒潮(貧栄養)と、瀬戸内海から豊後水道を南下してくる富栄養な海水とが混じりあうことで、多種多様な海洋生物の宝庫*。
 1990(平成2)年代以降ダイビングスポットとして有名になり、多くのダイバーが訪れている。
 またSNS上で「船が宙に浮いて見える」*という写真が、透明度の高い海として紹介され、この海を見るために関東や東北からも観光客が来るようになった。島へ向かう県道43号の途中で車を寄せて島の姿を俯瞰できる。マグロ養殖の筏が浮かび、島の周りの海は青く澄んでいる。
 島の北東部にある集落を包囲して波浪から保護する防波堤(約700m)と、島の南東端から対岸の半島に向けて水道の流速を緩和する突堤(約270m延伸)があり、この堤により集落の東方海面が湾状となり良漁港になった。当初の堤は土佐藩執政、野中兼山*が築かせたもので、現在も下部は当時の石堤という。漁港に面して島東側に集落が形成されている。
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みどころ

国道から崖下の海が澄んでいるのがわかるほどの透明度。ダイビング、シュノーケリングなどで海中見物を。色とりどりの魚に会えるはず。大月町観光協会や黒潮実感センター*などでは海や島を題材とした多彩なプログラムを充実、用意している。
 二項道路中心の海辺の町の形状や雰囲気を感じてのまち歩きも楽しい。南国的な建物、干されたウェットスーツ、細い路地、漁村の猫、坂道、漁業と海洋レクリエーションの町である。護念寺にはよさこい節にまつわるもうひとりの僧、慶禅の墓がある。
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補足情報

*多種多様な海洋生物の宝庫:大月・土佐清水海域にはサンゴ礁こそ存在しないが、サンゴの出現種数170種はサンゴ礁をもつ種子島(151種)を上回る(奄美諸島は220種)。温帯に位置するが魚類は亜熱帯産と温帯産が混生、狭小といえる島周辺で1,000種の出現を数えている(日本全体で約3,800種)。
*「船が宙に浮いて見える」:イタリアのランペドゥーザ島の海に使われてきた賞賛の表現であるが、柏島の海も同様だという写真がネット上で披露された。
*野中兼山:1615(元和元)~1664(寛文3)。江戸時代初期の儒学者で土佐藩の殖産興業に功績。多くの土木工事や制度改正を行った。
*黒潮実感センター:地域資源を活用した体験活動等を実施し、環境教育や環境保全の重要性を伝える活動を行っている。
関連リンク 大堂・柏島(大月町)(WEBサイト)
参考文献 大堂・柏島(大月町)(WEBサイト)
高知県柏島・NPO法人黒潮実感センターからのお知らせ(WEBサイト)
高知県(WEBサイト)
『漁業集落における産業の変容と課題 ―高知県柏島を事例に―』友野哲彦2000年 高知大学レポジトリ
『大月町柏島における地域に根ざした環境教育』神田優2007年 高知大学レポジトリ

2023年05月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。