竹林寺ちくりんじ

文殊信仰の霊場である唐の五台山に登って奥義を授かる夢をみた聖武天皇の命により行基が唐の五台山に似た霊地としてここを選び、724(神亀元)年に開創されたと伝わる。大同年間(806~809年)に弘法大師がここで修行したという由縁から、のちに四国霊場第三十一番札所になった。江戸期には土佐藩山内家が代々祈願寺とし、学侶が集まり、近世土佐の文化・宗教を担っていた学山である。
 五重塔は総檜造りで高さ31m。本尊をおさめた文殊堂(本堂)と江戸後期1816(文化13)年建立の書院は国重要文化財。書院を囲む庭園は国の名勝に数えられている。
 本尊(文殊像)は秘仏であるため拝観できないが、重要文化財にも指定された多くの仏像を宝物館で見ることができる。また庭園も公開されている。
 このほか境内には2013(平成25)年4月に竣工した堀部安嗣の設計による納骨堂がたたずむ。
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みどころ

石段近くの五重塔は高さ31m、明治期に台風で倒壊した三重塔を1980(昭和55)年に再建したもの。竹林寺最古の現存建造物で国重要文化財の文殊堂(本堂)は、寛永期の火災後に土佐二代藩主が造営したと伝わる。室町後期の様式を持ち、密教寺院建築のなかでも特異な様式が随所に見い出される。弘法大師を祀る大師堂の正面の長押(なげし)にある多数の木礼は、巡礼の証にお遍路さんが打ち付けたもの。
 書院は江戸時代後期1816(文化13)年、藩主参詣の際の接待殿として造営されたもの。入母屋で室町時代の様式をもつ書院造の主屋、切妻造りの玄関、そして唐破風造りの車寄せからなる。書院から望む庭園は、鎌倉後期五台山西麓に庵を結んだ禅の高僧の作庭と伝わる。
 納骨堂は、敷地の高低差を利用した建物で、屋根や柱には県産材が使用されている。周囲の環境に調和して、落ち着きのある空間を創り出している。
関連リンク 五台山 竹林寺(WEBサイト)
参考文献 五台山 竹林寺(WEBサイト)
『歴史のふるさと竹林寺をゆく』海老塚和秀
『高知県の歴史散歩』高知県高等学校教育研究会歴史部会編 山川出版社
『五台山物語』里見剛 高知新聞社

2023年02月現在

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