執筆者 典然

観光関係の調査研究機関をリタイヤして、気儘に日本中を旅するtourist。
「典然」視線で、折々の、所々の日本の佇まいを切り取り、カメラに収めることがライフワーク。「佇まい」という言葉が表す、単に建物や風景だけではない人間の暮らしや生業、そして、人びとの生き方を見つめている。

 〇日本庭園の発展過程   世界各地の名園は、それぞれの民族や国の文化、美意識、自然観、世界観が凝縮されたものといってよいだろう。日本庭園も同様で、京都をはじめ全国に点在する名園といわれるところを訪ね、庭を前にして佇むと・・・ 続きを読む

 東京23区のどの区においても経済政策および都市計画において、観光が重要なテーマのひとつになっている。そのなかで、墨田区では、景観まちづくり像として「水辺と歴史に彩られ、下町情緒あふれる“すみだ風景づくり”」の実現を目指・・・ 続きを読む

 東北を旅していると「奥の細道」に関連する句碑や案内板に頻繁に出合う。観光振興のツール、ストーリー作りにもよく使われている。世界に誇る俳句、古典文学なのだから、当然のことだろう。   芭蕉が「奥の細道」に出掛けたのは、古・・・ 続きを読む

 最近、観光地のストーリー化がしきりに喧伝されている。このこと自体は、観光に奥行きを与え、その土地、土地のアイデンティティを確認する意味からも重要なことと思われる。そのストーリー作りにあたって、自らの観光資源の魅力をどの・・・ 続きを読む

 城や城下町への関心度は相変わらず高い。テレビの旅番組や歴史教養番組でよく取り上げられており、大河ドラマでも城や城下町の場面が数多く設定され、若い女性や外国人にも人気のスポットになっている。そのこともあって、各地で、観光・・・ 続きを読む

 以前、信州の白馬村大出公園近くで奇妙な道祖神に出会った。信州の道祖神は、双体神1基ということ多いが、ここの道祖神は、天鈿女命と猿田彦と思われる神様がそれぞれ1基ずつ並例して立っていた。この形式がそれほど不思議とは思わな・・・ 続きを読む

「高原」という言葉  九州横断道路(やまなみハイウエイ)は、くじゅう連山の北麓を抜けていくが、その途中に飯田(はんだ)高原がある。いくつかの火山に囲まれた傾斜面の高原だ。温泉も点在し、牧場やスキー場、そして別荘地などが広・・・ 続きを読む

〇河口湖  大町桂月や志賀重昂の富士五湖についての評価は、十和田湖と比べて厳しい。富士五湖のひとつ河口湖は、面積で言えば確かに十和田湖の十分の一以下であることから、大町桂月は「大きさについていわば、屈斜路湖、支笏湖、洞爺・・・ 続きを読む

 十和田湖、河口湖、霞ヶ浦の三つの湖は、私にとってはそれぞれ魅力を感じ、昔も今もよく訪れる場所である。ただ、一般的な観光資源として見た場合、その評価や観光客の入込み実績となると実にバラツキが大きい。  このバラツキの要因・・・ 続きを読む

 ローカル線というと、フーテンの寅さんをイメージしてしまう。もちろん、山田洋二監督はそのことを十二分に意識し、ローカル線の駅や車両、あるいは路線を、ストーリーの舞台だったり、大道具だったり、背景だったりと、シリーズの多く・・・ 続きを読む

役行者とは  吉野山の金峯山寺金剛蔵王大権現三体と対峙すると、その威厳ある形相と巨大さに自らの心を見透かされたような気持になり、圧倒されてしまう。この三体の大権現の謂われは、白鳳年間(7世紀後半)に役行者(役小角または役・・・ 続きを読む

 前回は、西の有力な温泉地である、道後、城崎、有馬について触れたが、今回は、関東の伊香保、草津、塩原を文豪たちがどう描いたかを見てみたい。 〇伊香保、草津、塩原  関東の伊香保温泉は、江戸後期から第2次世界大戦前まで、温・・・ 続きを読む

 山形県の北部にある肘折温泉の温泉街に入ると、昔懐かしい感じがする。狭い道の両側にそれほど大きくない旅館が20軒ほど肩を寄せ合うように建ち並び、その間には、お土産屋などの店がいまでもきちんと開いている。温泉街の奥には豆腐・・・ 続きを読む

人間は塔に何を求めているのか  明治末から昭和前半期あたりに活躍した作家、知識人が、関東大震災で失われた「江戸情緒」を追慕する随筆・評論を集めた「失われた江戸を求めて」(古典教養文庫Kindle版)が面白い。明治期に奔流・・・ 続きを読む

 「道」は、人間の営為があって初めて存在する。もっとも獣道は、動物の行動パターンによって出来上がるし、風の道というものもあるが、これは風土、地形が生み出すもので、人間の営為への比喩的表現である。人間にとっての「道」は、自・・・ 続きを読む

 2018年7月21日の朝日新聞の記事に「小京都から独立する観光地」というのがあった。その記事では1985年に27市町で「全国京都会議」という団体が設立され、これまで計63市町が入会したものの、このところ18市町が退会し・・・ 続きを読む

 私たちが旅行に出掛ける目的のひとつとして、「非日常」を体験したいということがよく言われる。旧宿場町がディスティネーションとして選ばれ、人気観光地化されていくことが見受けられるのも、疑似体験として時代をさかのぼることで、・・・ 続きを読む

里の雑木林  私にとって林や森といえば、子供の頃よく登った甲府盆地の北にそびえる帯那山(標高1422m)への沢伝いの登山道がもっとも印象深い。帯那山へは、現在は頂上直下まで林道が通じているが、60年ほど前は武田神社の北、・・・ 続きを読む

 日本の景観を語るとき、全国各地に見られる看板は、すこぶる評判が悪い。東京の新宿や渋谷、そして大阪の新世界、道頓堀などなど、何でもありのゴチャゴチャ感。さらに郊外の観光地に行っても、自然空間の美を頓着なくぶち壊す看板をは・・・ 続きを読む

 前回の「たびれぽ」で、「日本の軒(のき)、庇(ひさし)」が家の中に「暗さ」や「陰翳」をもたらし、それが日本独特の文化を創り上げる一つの要素だったのではないか、ということを取り上げた。今回は、その家の中の「あかり」につい・・・ 続きを読む

 日本建築の特徴のひとつに軒、あるいは庇があるという。  建造物を撮影しようとすると、この軒、あるいは庇がその建造物の造形全体に大きな影響を与えており、それをどう取り込むかが構図決定の重要な要素となる。日本建築の軒や庇は・・・ 続きを読む

 蔵で、ふと、思い出すのは、学生時代のことだ。もう40年も前になるが、江戸末から明治、大正当時の農村経営について研究するため、大学の指導教官の御供で史料を探しに、静岡県下の篤農家だった旧家を訪ねた時のことだ。東海道線の最・・・ 続きを読む