執筆者 典然

観光関係の調査研究機関をリタイヤして、気儘に日本中を旅するtourist。
「典然」視線で、折々の、所々の日本の佇まいを切り取り、カメラに収めることがライフワーク。「佇まい」という言葉が表す、単に建物や風景だけではない人間の暮らしや生業、そして、人びとの生き方を見つめている。

 前回は、西の有力な温泉地である、道後、城崎、有馬について触れたが、今回は、関東の伊香保、草津、塩原を文豪たちがどう描いたかを見てみたい。 〇伊香保、草津、塩原  関東の伊香保温泉は、江戸後期から第2次世界大戦前まで、温・・・ 続きを読む

 山形県の北部にある肘折温泉の温泉街に入ると、昔懐かしい感じがする。狭い道の両側にそれほど大きくない旅館が20軒ほど肩を寄せ合うように建ち並び、その間には、お土産屋などの店がいまでもきちんと開いている。温泉街の奥には豆腐・・・ 続きを読む

人間は塔に何を求めているのか  明治末から昭和前半期あたりに活躍した作家、知識人が、関東大震災で失われた「江戸情緒」を追慕する随筆・評論を集めた「失われた江戸を求めて」(古典教養文庫Kindle版)が面白い。明治期に奔流・・・ 続きを読む

 「道」は、人間の営為があって初めて存在する。もっとも獣道は、動物の行動パターンによって出来上がるし、風の道というものもあるが、これは風土、地形が生み出すもので、人間の営為への比喩的表現である。人間にとっての「道」は、自・・・ 続きを読む

 2018年7月21日の朝日新聞の記事に「小京都から独立する観光地」というのがあった。その記事では1985年に27市町で「全国京都会議」という団体が設立され、これまで計63市町が入会したものの、このところ18市町が退会し・・・ 続きを読む

 私たちが旅行に出掛ける目的のひとつとして、「非日常」を体験したいということがよく言われる。旧宿場町がディスティネーションとして選ばれ、人気観光地化されていくことが見受けられるのも、疑似体験として時代をさかのぼることで、・・・ 続きを読む

里の雑木林  私にとって林や森といえば、子供の頃よく登った甲府盆地の北にそびえる帯那山(標高1422m)への沢伝いの登山道がもっとも印象深い。帯那山へは、現在は頂上直下まで林道が通じているが、60年ほど前は武田神社の北、・・・ 続きを読む

 日本の景観を語るとき、全国各地に見られる看板は、すこぶる評判が悪い。東京の新宿や渋谷、そして大阪の新世界、道頓堀などなど、何でもありのゴチャゴチャ感。さらに郊外の観光地に行っても、自然空間の美を頓着なくぶち壊す看板をは・・・ 続きを読む

 前回の「たびれぽ」で、「日本の軒(のき)、庇(ひさし)」が家の中に「暗さ」や「陰翳」をもたらし、それが日本独特の文化を創り上げる一つの要素だったのではないか、ということを取り上げた。今回は、その家の中の「あかり」につい・・・ 続きを読む

 日本建築の特徴のひとつに軒、あるいは庇があるという。  建造物を撮影しようとすると、この軒、あるいは庇がその建造物の造形全体に大きな影響を与えており、それをどう取り込むかが構図決定の重要な要素となる。日本建築の軒や庇は・・・ 続きを読む

 蔵で、ふと、思い出すのは、学生時代のことだ。もう40年も前になるが、江戸末から明治、大正当時の農村経営について研究するため、大学の指導教官の御供で史料を探しに、静岡県下の篤農家だった旧家を訪ねた時のことだ。東海道線の最・・・ 続きを読む