金沢市
印刷する金沢市は、石川県中央部に位置する。北西部一帯の平野部と南東部一帯の台地・丘陵・山地部に大区分される。市街地は丘陵部から平野部にかけて展開しており、平野の西部で白山市(旧松任市)と野々市市に接し、東部から北部にかけて津幡町と内灘町に接する。また、市域の東部は富山県境(小矢部市、南砺市)に接し、北西部が日本海と河北潟に面する。北陸地方の中心都市で、加賀百万石の城下町として知られる、
JR北陸本線(金沢―直江津間の石川県部分はIRいしかわ鉄道に移管)が通じるほか、2015(平成27)年には北陸新幹線長野―金沢間が延伸、開業。国道は8号、157号、159号、304号、359号が縦横に走り、北陸自動車道と能登有料道路(のと里山海道)が通じる。
戦災を免れたため、わが国の数少ない典型的な城下町としての面影が残り、北陸の中枢管理機能をもつ。歴史は古く、古墳時代は北加賀の中心地であったと推定される。1583(天正11)年、前田利家が金沢城に入り、以後明治に至るまで前田氏はここを居城に加賀、能登、越中3国を支配し、加賀百万石の城下町として栄えた。明治期に入り、旧金沢藩の士族が殖産興業に努めて金沢製糸社、石川県勧業場、金沢撚糸社などを興し、これらは地場産業の基礎となった。
伝統工業では、加賀友禅の他、九谷焼、金沢漆器、金沢仏壇、全国で独占的生産の金箔、加賀象眼、大樋焼、桐工芸品等の加賀藩以来の伝統によるものが多数ある。農業は水稲単作に加え、ナシ、リンゴなどの果樹栽培、蓮根、スイカ、サツマイモ、ダイコン、タケノコなどが生産されている。金沢港は県内有数の漁港で、スルメイカ、エビ類、カレイ、アマエビ、ズワイガニ、ブリ、川魚のゴリなどを水揚げしている。
典型的城下町であり、その特色がよく保存された古都として文化的に評価が高い。国指定重要文化財としては尾崎神社の本殿、中門、透塀など、尾山神社神門、金沢城跡の石川門、三十間長屋、旧第四高等学校の赤れんが校舎、成巽閣、旧松下家住宅、旧鯖波本陣石倉家住宅がある。兼六園は特別名勝、成巽閣庭園は国指定名勝。
東山に残る茶屋町の町並は2001(平成13)年、主計町(かずえまち)の茶屋町の町並は2008(平成20)年、卯辰山麓の寺町は2011(平成23)年、寺町台の寺社、町家の町並みは2012(平成24)年に重要伝統的建造物群保存地区に選定された。
1月の加賀鳶出初式、6月の「金沢百万石まつり」が名高い。
観光資源一覧

写真提供:妙立寺
妙立寺(忍者寺) (石川県 金沢市 )
犀川大橋のやや南に、犀川に沿うように走る寺町通りに立ち並ぶ寺町寺院群の一つ。1643(寛永20)年に3代藩主利常(としつね)が前田家の祈願所として建立し、日像(にちぞう)*作と伝わる日蓮像を安置している。外観は2階建てに見えるが4階7層からなり、29の階段、23の部屋があり、隠し部屋や隠し戸が極めて巧みに設けられている。本堂屋上...

尾山神社 (石川県 金沢市 )
尾山神社は、金沢市の中心市街地香林坊の北にあり、主祭神は加賀藩祖前田利家公とお松の方。 1599(慶長4)年、卯辰八幡宮として創建されたものが、1873(明治6)年に現在地へ遷座し、尾山神社となった。神門は重要文化財に指定されている。
金沢城 (石川県 金沢市 )
浅野川と犀川にはさまれた小立野台地の北西端に位置する。面積は堀を含めて約30万㎡、最高所は本丸跡の海抜約60mで、南東へ延びる小立野台地とは百間堀によって分かれている。城内の建物は1881(明治14)年の大火で大部分を焼失し、今ではわずかに石川門などが往時の威容をとどめている。 〔歴史〕佐久間盛政が4年間居城とした尾山城に158...
金沢の武家屋敷 (石川県 金沢市 )
香林坊から歩いてすぐにあるのが長町武家屋敷群。黄土色の土塀や石畳の小路が続き、加賀藩士や中級武士の屋敷跡が立ち並び、往時の面影を今に伝えている。金沢市の伝統環境保護区域および景観地区にも指定されているエリアだ。かつての城下町の面影を次第に失いつつあるが、まだ各所に残る頑丈な武者窓をもつ長屋門や土塀に往時を偲ぶことが...
ひがし茶屋街 (石川県 金沢市 )
浅野川の東側にあるひがし茶屋街は、重要伝統的建造物群保存地区に選定されており、南北約130m、東西約180mの中に茶屋様式の町家が並ぶ一角だ。保存地区内にある140棟のうちおよそ3分の2が伝統的建造物で、1820(文政3)年の茶屋町創設時から明治初期に建てられたもの。そのうち約9割が2階建てで1階正面に出格子のある茶屋様式の町家だ。道の...

写真提供::近江町市場商店街振興組合
近江町市場 (石川県 金沢市 )
前身は1580(天正8)年頃に始まった朝市で、1721(享保6)年に各所にあった市場が現在の地に集められたことが始まりとされる。以来加賀藩の繁栄とともに栄え、約300年もの間、金沢を代表する市場として賑わってきた。1966(昭和41)年には郊外に新しく開設された金沢中央卸売市場に卸仲卸が移転し、小売専門の市場となった。 売り子の威勢の...
卯辰山山麓寺院群 (石川県 金沢市 )
金沢駅の東方、卯辰山の西麓から山腹にかけて約50の寺院が散在している。1599(慶長4)年に前田利家を祀る宇多須神社、1601(慶長6)年には豊臣秀吉を祀る豊国神社(卯辰山王社)を建立し、歴代藩主が崇敬した。一方、前田家の祈願所である観音院が広大な境内を占めており、卯辰山は加賀藩の宗教空間として特別な意味を持つエリアでもあった...
兼六園 (石川県 金沢市 )
金沢市内中央部、金沢城跡の南東に隣接する、江戸時代を代表する大名庭園。築山や茶屋が点在し、曲水が巡る美しい林泉回遊式庭園で、日本三名園*のひとつに数えられている。1676(延宝4)年より5代藩主綱紀(つなのり)の時代に最初の庭(蓮池庭)が造られ、1822(文政5)年に12代藩主斉広(なりなが)が竹沢御殿を建てるに際し、御殿に付属...

玉泉園 (石川県 金沢市 )
兼六園の北に隣接する傾斜地を利用した上下2段の池泉回遊式庭園である。江戸初期、加賀藩士脇田直賢(わきたなおかた)*にはじまり、4代約100年をかけて脇田邸に作庭されたという。下段は「水」字形の池のある本庭を中心に東庭・西庭より構成され、燈篭や飛び石が、うっそうと茂る樹林の中に配されている。上段は茶室灑雪(さいせつ)亭の露地...

写真提供:金沢市
金沢百万石まつり (石川県 金沢市 )
戦後復興期、⾦沢市の前途を祝し、前⽥利家の金沢城入場を記念して企画された祭礼イベントで、1952(昭和27)年に始まった*。メインイベントは、前⽥利家の⾦沢城⼊城を模して市中を練り歩く百万⽯⾏列。⾏列の⼀環として、加賀とび、獅⼦舞などが披露される。また、期間中、兼六園及びその周辺での百万石茶会、百万石薪能、百万石踊り流し...

写真提供:石川県立歴史博物館
石川県立歴史博物館 (石川県 金沢市 )
兼六園に隣接する、本多の森公園*(金沢市出羽町)内に残る赤レンガの建物を活用した県立の歴史博物館。もともと旧陸軍の兵器庫として明治40年代から大正初期に建てられた3棟で、第2次大戦後、金沢市立美術工芸大学(当時は、前身の金沢美術専門学校)の校舎として使用されたもの。1968(昭和42)年には前身となる石川県立郷土資料館が金沢...
石川県立能楽堂 (石川県 金沢市 )
「石川県立能楽堂」は、百万石の城下町金沢に伝わる加賀宝生流の能楽をはじめ、邦楽など伝統芸能の継承と振興を目的として建設された。兼六園の南東にあり、舞台および白洲(しらす)を旧金沢能楽堂より移したもので、約400名の収容力と近代的設備をもつ。能楽文化の拠点として、1972(昭和47)年に、全国で初めて、独立した公立能楽堂として...

写真提供:成巽閣
成巽閣 (石川県 金沢市 )
兼六園の南東の一角にある。1863(文久3)年、13代加賀藩主前田斉泰(まえだなりやす)が建てた母真龍院の隠居所。近世大名御殿建築の貴重な遺構で、1階謁見の間は幕末期の書院造の好例とされる。御殿の各室内には、前田家伝来の調度品・美術工芸品が展示され、歴史博物館として一般公開されている。同御殿は、明治維新を機に兼六園が公園化...

写真提供:金沢市
前田家墓所 (石川県 金沢市 )
金沢市街の南、野田山丘陵の傾斜地にある、加賀藩前田家歴代の藩主・正室および一族の墓地。加賀藩藩祖の前田利家(としいえ)の遺言でこの地に墓が造られて以降、歴代藩主や正室、子女など、約80基が一堂に会す。6万㎡を超える広い墓所に並ぶ墓のほとんどは、土を盛った古墳式で、石の墓標が立てられている。なお、墓所の中で6代吉徳の左に...
金沢21世紀美術館 (石川県 金沢市 )
金沢市街の中心、広坂にある現代美術を収蔵・展示した市立美術館。開館以来入館者が増え続け、全国のみならず国際的にも有名になった人気の観光スポット。市民はじめ「誰もがいつでも立ち寄ることができ、様々な出会いの場となること」(美術館HP)を目指した現代アート美術館である。 金沢大学附属中学校・小学校・幼稚園があった敷地(...
主計町茶屋街 (石川県 金沢市 )
金沢市の「三茶屋街」のひとつで、北国街道が浅野川を渡る地点に架かる浅野川大橋の下流に位置する。茶屋町として明治期から昭和の戦前にかけて栄え、当時の建造物が多く残る。昼間でも薄暗い石段が続く「暗がり坂」や、2008(平成20)年に地元住民から依頼を受けて、作家・五木寛之氏が命名した「あかり坂」は、趣のある風景に出会える場所...

写真提供:鈴木大拙館
鈴木大拙館 (石川県 金沢市 )
金沢市出身で、世界的に知られる仏教学者である鈴木大拙への理解を深め、来館者の思索の場とすることを目的に、大拙生誕地の近くに2011(平成23)年に開館した。館内では展示空間、学習空間、思索空間の3つの空間が回廊で結ばれ、回廊脇には玄関の庭、露地の庭、水鏡の庭の3つの庭が配されている。こうした空間を回遊することによって、来館...

写真提供:金沢市
にし茶屋街 (石川県 金沢市 )
ひがし茶屋街、主計町茶屋街と並ぶ金沢三茶屋街のひとつ。茶屋街のエリアはそれほど広くないものの、約100mのメインストリートには出格子の茶屋建築が連なり、江戸時代の面影を色濃く残している。現役の茶屋も多く、芸妓も活躍している。茶屋の跡地に建つ金沢市西茶屋資料館は見どころのひとつ。隣接する西検番事務所は芸妓衆の稽古場と事務...

写真提供:国立工芸館(写真 太田拓実)
国立工芸館 (石川県 金沢市 )
2020(令和2)年に東京から金沢市の中心部に移転した、近現代の工芸とデザインを専門とする美術館。兼六園や石川県立美術館、金沢21世紀美術館などの文化施設が集中する兼六園周辺文化の森にあり、作品や資料の収集保管および調査研究に基づく展覧会の開催、さまざまなラーニング・プログラムを行うなど、工芸文化の発信拠点となっている。