近江町市場おうみちょういちば

1721(享保6)年に各所の市場が現在の地に集められたことから始まったとされる。以来加賀藩の繁栄とともに栄え、約300年もの間、金沢を代表する市場として賑わってきた。1966(昭和41)年には郊外に新しく開設された金沢中央卸売市場に卸仲卸が移転し、小売専門の市場となった。
 売り子の威勢のいい掛け声が場内に響くなど昔ながらの市場の雰囲気が色濃く残っており、「金沢市民の台所」として地元客の食を支えるほか、金沢駅にほど近い立地から、観光地としても多くの人が訪れる人気スポットとなっている。
 近年、建物や施設の老朽化や防災対策として、再開発事業や施設の更新事業に取り組んでおり、2003(平成15)年から2019(平成30)年にかけてアーケードの新設や架け替え、照明のLED化を実施したほか、2010(平成21)年には飲食エリアと立体駐車場等を有する近江町いちば館が完成、2021(令和2)年には商業店舗と立体駐車場、キッチンスタジオ等がある近江町ふれあい館が完成した。
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みどころ

 金沢の食文化を支える市場として親しまれている。場内には約170の店が並び、新鮮な海の幸や地元産の野菜・果物などが豊富に揃い、それらの食材を使った飲食店もあり、常に大勢の観光客で賑わっている。昔ながらの対面販売はみどころの一つ。再開発事業で誕生した近江町いちば館の一角にある「近江町いちば館広場」*や地下の連絡通路は、「誰もが楽しめる街なかの賑わい広場」として活用されている。市場入口近く武蔵ケ辻交差点脇の北國銀行武蔵ケ辻支店*は、再開発事業の一環として行われた曳家により、現在地に移動・修復された歴史的建築物である。
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補足情報

*近江町いちば館広場:年中行事関連ブース、物販、飲食、オープンカフェ、コンサート、トークショー、ストリートパフォーマンスなどが開催されている。
*北國銀行武蔵ケ辻支店:建物は、昭和を代表する建築家・村野藤吾の若き日の貴重な作品(旧加能合同銀行本店)である。