高山市は、県北部の中心都市。北は飛騨市、白川村、富山県富山市、東は長野県の大町市、松本市、木曽町、南は下呂市、郡上市、西は福井県大野市、石川県白山市と接する。
 国道41号、156号、158号、257号、361号、471号、472号が通じる。さらに東海北陸自動車道が市域西部を縦断し、市街とは高山清見道路(中部縦貫自動車道の一部)で連絡している。鉄道はJR高山本線が通じる。
 中央部には宮川、南部には飛騨川、南西部には庄川、北部には高原川が流れる。高山、国府・古川盆地が広がっており、高山盆地からは東に乗鞍岳、穂高岳、槍ヶ岳、笠ケ岳、西に白山、南に御嶽山を臨み、焼岳などの活火山を熱源とした数多くの源泉がある。森林面積が市域全域の約92%を占めている。市街地は高山盆地にあって、「小京都」ともよばれ、古くからのおもかげを残している。
 1936年(昭和11)高山町が大名田町を合併して市制施行。変遷を経て2005年(平成17)2町7村を編入し、現在の市域となる。古く国分寺が置かれたが、高山が飛騨の中心となったのは、1585年(天正13)羽柴(豊臣)秀吉の命令によって、越前大野城主の金森長近が飛騨を平定して入封し、1590年頃に現在の城山公園(天神山)で高山城の建設に着手してからである。以後、十数年にわたって、その北麓の高台などに侍屋敷を設け、東山の山麓に多くの神社・寺院を配置し、宮川の東岸には一之町、二之町、三之町などの町人屋敷をつくり、町の繁栄が図られた。1692年(元禄5)飛騨は幕府の直轄地となり、高山には陣屋が置かれた。こうして江戸時代を通じ、京都・江戸両文化の影響によって、高山町民の生活に独特な伝統文化が形成された。
 農村部では米作をはじめ、高冷地野菜やモモ(飛騨桃)栽培のほか、和牛(飛騨牛)の肥育が盛ん。また飛騨のブナ材などの森林資源にめぐまれていることから製材や木材加工が行われており、曲木家具製造が盛ん。江戸時代から春慶塗、一位一刀彫(国の伝統的工芸品に指定)、渋草焼などの伝統工芸が行われている。近年は電気機械器具の工場もある。
 三町地区などは重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。飛騨国分寺、春慶会館、日下部民藝館、吉島家住宅、高山祭屋台会館、三町筋、飛騨高山まちの博物館、平田記念館、高山陣屋、城山公園、高山別院照蓮寺、飛騨民俗村などがある。この他、北東部の奥飛騨温泉郷、丹生川地区の五色ヶ原、高根地区の野麦峠、朝日地区の鈴蘭高原と秋神温泉、久々野地区の舟山高原、国府地区の宇津江四十八滝などの観光地があり、スキー場、ゴルフ場なども多く設置されている。伝統行事の一つ高山祭は、屋台が国の重要有形民俗文化財に、一連の行事が同無形民俗文化財に指定されており、毎年4月に日枝神社の山王祭、10月に桜山八幡宮の八幡祭がおこなわれ、両祭の屋台行事は「高山祭の屋台行事」としてユネスコの無形文化遺産に登録されている。

観光資源一覧

乗鞍岳の写真

乗鞍岳 (長野県 松本市 / 岐阜県 高山市 )

長野県松本市と岐阜県高山市の県境、北アルプスの南端にあるコニーデ型の山。馬の鞍に似て複数の峰とその峰間のなだらかな尾根の姿から、その名がついたといわれている。  乗鞍スカイライン(岐阜側)*や乗鞍エコーライン(長野側)*で2,702mの畳平までバスが入り、容易に頂上をきわめられる。剣ケ峰を盟主として3,000m級の恵比須岳・大...

焼岳の写真

焼岳 (長野県 松本市 / 岐阜県 高山市 )

上高地大正池の西にそびえるトロイデ型活火山*。標高2,455m。北アルプスの活火山で、たえず水蒸気を上げ、山頂付近は山肌をあらわにし、木も草も生えていない。南峰と北峰からなり、最高峰は南峰である。  1915(大正4)年の噴火では、梓川をせき止め、大正池を出現させ、1962(昭和37)年の噴火では焼岳小屋を倒壊させた。以来、山頂1km...

穂高岳の写真

穂高岳 (長野県 松本市 / 岐阜県 高山市 )

北アルプスの南部に連なり、東に梓川、西に蒲田川の清流が流れる。上高地から梓川の上流へ向かうと、つねに穂高連峰が左側にそびえている。わが国第3位の高峰、奥穂高岳(3,190m)を中心に北の涸沢岳3,103m・北穂高岳3,106m、吊尾根*で結ばれる南東の前穂高岳3,090m、南西の西穂高岳2,909mからなり、総称して単に穂高岳と呼ばれている。 ...

槍ヶ岳の写真

槍ヶ岳 (長野県 松本市 / 長野県 大町市 / 岐阜県 高山市 / 長野県 安曇野市 )

北アルプスの中央部、穂高連峰の北方にそびえ標高3,180m。高さでは奥穂高岳に及ばないが、天に向かって尖峰を突き上げ、キリリとひきしまった山容は、日本アルプスの王者と仰がれている。尾根も雄大で、北は険しい北鎌尾根がつづき、東は大天井岳、南は穂高連峰、西は三俣蓮華岳へと延びている。  山体の標高2,500m以上の部分は、洪積世氷...

三俣蓮華岳の写真

三俣蓮華岳 (長野県 大町市 / 富山県 富山市 / 岐阜県 高山市 )

北アルプスの中央部にあり、長野・富山・岐阜3県の境になっている。標高は2,841m。北東部は烏帽子岳方面から後立山連峰*へ、西は黒部五郎岳方面から立山連峰へ、南は槍ケ岳へと稜線がのび、縦走路の重要な分岐点である。  山の名前は、信州・美濃・越中の三国の境であり(三俣)、大きく広がった姿が蓮の花のよう(蓮華)ということからと...

笠ヶ岳の写真

写真提供:(一社)岐阜県観光連盟

笠ヶ岳 (岐阜県 高山市 )

新穂高温泉の北西にそびえる独立峰。標高は2,898mで、県境を接しない山としては岐阜県内の最高峰である。どこから見ても笠を伏せたような姿をしている。古くから信仰の対象とされた山で、江戸時代に円空(えんくう)上人(1632~1695年)が開山し、文政年間(1818~1829年)には播隆(ばんりゅう)上人が、山頂に阿弥陀(あみだ)仏を奉納し...

飛騨大鍾乳洞の写真

写真提供:飛騨大鍾乳洞観光

飛騨大鍾乳洞 (岐阜県 高山市 )

国道158号線で高山市街から奥飛騨温泉郷へのおよそ中間のところにあり、標高約900mに位置する。洞内の温度は、年間を通じて8度から12度である。  鍾乳洞のある飛騨地方は、2億5千万年前には海だった。海中でサンゴやフズリナ(紡錘虫)などの死骸が固まって、石灰石ができた。 その後、石灰岩のできた場所が地殻変動により隆起した。隆起...

高山陣屋の写真

写真提供:(一社)岐阜県観光連盟

高山陣屋 (岐阜県 高山市 )

高山駅から700m程にある。江戸時代1692(元禄5)年に飛騨が幕府直轄領となり、その出先機関として高山城主だった金森氏の下屋敷を陣屋としたもの。明治維新まで25代の代官・郡代が江戸から派遣され、飛騨の行政・財政・警察などの政務を行った。御役所・郡代役宅・御蔵等を併せて「高山陣屋」と称する。  陣屋設置以来、江戸時代1725(享保...

安国寺の写真

写真提供:安国寺

安国寺 (岐阜県 高山市 )

飛騨国府駅の北東3kmにある。足利尊氏・直義兄弟が、南北朝内乱における戦没者や後醍醐天皇の冥福を祈るため、国ごとに安国寺と利生塔を設置した。飛騨では南北朝時代の1347(貞和3)年に、この地に以前よりあった少林寺の寺号を安国寺と改め創建された。開山は瑞巌(ずいがん)和尚である。  創建当時の本堂は永禄年間(1558~1570年)に...

飛騨国分寺の写真

写真提供:(一社)岐阜県観光連盟

飛騨国分寺 (岐阜県 高山市 )

JR高山駅の北東300mに位置する。飛騨国の国府が高山に移った奈良時代(710~794年)に、聖武天皇の勅願により全国に建立された国分寺のひとつで、746(天平18)年に創建された古刹である。本堂に、本尊の薬師如来坐像、旧国分尼寺の本尊であった聖観世音菩薩像*を安置する。  室町時代(1333~1573年)中期に再建された本堂は、正面5間、側...

高山三町の町並みの写真

高山三町の町並み (岐阜県 高山市 )

市の中心部を流れる宮川(みやがわ)の東、南北に連なる三本の通りを総称して「三町(さんまち)」という。三町は、さらに安川通りを境に上町と下町に分かれていて、南側が上一之町(かみいちのまち)から上三之町(かみさんのまち)、北側が下一之町(しもいちのまち)から下三之町(しもさんのまち)である。江戸時代末期から明治時代*に...

高山の朝市の写真

写真提供:(一社)岐阜県観光連盟

高山の朝市 (岐阜県 高山市 )

米市や塩市は、金森氏による統治(1586~1692年)の頃や、天領になった江戸時代1692(元禄5)年以降も開かれていた。 養蚕(ようさん)用に桑の葉を売る桑市が、1820(文政3)年頃には高山別院前で行われ、その後も弥生橋詰、中橋と場所を変えながら開かれた。1894(明治27)年頃からは、養蚕業の不振もあり「桑市」から、農家の奥さん達に...

高山祭の写真

高山祭 (岐阜県 高山市 )

春の「山王祭(さんのうまつり)」と秋の「八幡祭(はちまんまつり)」、二つの祭りをさす総称。  高山祭が始まったのは、金森長近が飛騨を平定し統治していた1586(天正14)年から1692(元禄5)年の間といわれる。以後、江戸幕府直轄地(天領)になり、1718(享保3)年頃に祭用の山車(だし)である「屋台(やたい)」が登場。更に、形や...

飛騨民俗村 飛騨の里の写真

写真提供:飛騨民俗村 飛騨の里

飛騨民俗村 飛騨の里 (岐阜県 高山市 )

高山市街の南西、松倉山麓にあり、有料施設の飛騨の里と、山岳資料館*がある無料施設の民俗村を合わせた施設である。飛騨地方各地に点在していた古い民家を移築・復元し、農山村の生産・生活用具などと共に紹介した野外集落博物館。  飛騨民俗村(旧民俗館)は、御母衣(みぼろ)ダム建設により水没してしまう若山家住宅を移築・公開した1...

奥飛騨温泉郷の写真

写真提供:(一社)奥飛騨温泉郷観光協会

奥飛騨温泉郷 (岐阜県 高山市 )

日本列島の中央部で3000m級の飛騨山脈(北アルプス)の麓に、こんこんと湧き出る湯量豊富な温泉が点在する。乗鞍岳(のりくらだけ)から流れ出す高原(たかはら)川に、上流から平湯(ひらゆ)温泉・福地(ふくじ)温泉・新(しん)平湯温泉が、穂高(ほたか)連峰から流れ出す蒲田(がまだ)川に沿って、新穂高(しんほたか)温泉・栃尾(と...

飛騨の朴葉みそ料理の写真

飛騨の朴葉みそ料理 (岐阜県 高山市 )

乾燥させた朴(ほお)の葉の上に味噌をのせ、ネギ、シイタケ、漬物など好みの具と一緒に、ゆっくり焼きながら食べる飛騨地方の郷土料理。朴葉の風味が味噌などにしみこんだ素朴な味わいである。ご飯のおかずに合うほか、酒の肴にも良い。  元々は寒さの厳しい飛騨で、囲炉裏(いろり)の炭火に金網をのせ、朴葉を敷き、凍った漬物や土に埋...

荘川桜の写真

写真提供:(一社)岐阜県観光連盟

荘川桜 (岐阜県 高山市 )

東海北陸道荘川ICの北約9.1km、御母衣(みぼろ)ダム湖岸の国道156号線沿いの中野地内「荘川桜公園」に、2本の大きなサクラが並び立っている。ともに樹高約20m、目通り幹囲約6m、樹齢約500年余の老桜で、種類はアズマヒガンサクラ。元々は、ダム湖の湖底に沈んだ集落の寺にあった木を、ここに移植したものである。例年4月下旬~5月上旬に薄い...