安国寺あんこくじ

飛騨国府駅の北東3kmにある。足利尊氏・直義兄弟が、南北朝内乱における戦没者や後醍醐天皇の冥福を祈るため、国ごとに安国寺と利生塔を設置した。飛騨では南北朝時代の1347(貞和3)年に、この地に以前よりあった少林寺の寺号を安国寺と改め創建された。開山は瑞巌(ずいがん)和尚である。
 創建当時の本堂は永禄年間(1558~1570年)に戦火で焼失したが、江戸初期(1624~1644年)に再建された。
 1408(応永15)年に建立された経蔵*(きょうぞう)は、唐様素木造りの簡素な建物で、経本(木版一切経もくはんいっさいきょう)を納めた八角形の輪蔵が内部にある。国内に現存する輪蔵では最古の遺構である。 
 開山堂には、塑造瑞巌和尚坐像(そぞうずいがんおしょうざぞう)が安置されている。
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みどころ

安国寺は、室町幕府を開いた足利尊氏・直義兄弟が、全国68ヵ所に創建した寺院である。
 この地の安国寺は、谷あいの景色が一望できる山麓に位置している。境内にある経蔵は飛騨唯一の国宝建造物に指定されている。その中で、経本を納めた八角形の輪蔵は、国内に現存する回転式の輪蔵としては最古のものである。回転式の書架である輪蔵を一回転させると、架蔵する経典をすべて読んだのと同じ功徳があるといわれている。
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補足情報

*経蔵:室町時代(1336~1573年)の特色をよく表した建築様式で、桁行1間、梁間1間、単層裳階付き入母屋造、柿葺、素木造の唐様建築。内部に八角輪蔵が置かれ、一切経を収蔵する。この一切経は、中国元朝時代に杭州路南山普寧寺で刊行されたもの。南陽軒主超一禅師が、3年がかりで日本に運んだと伝えられる。