笠ヶ岳かさがたけ

新穂高温泉の北西にそびえる独立峰。標高は2,898mで、県境を接しない山としては岐阜県内の最高峰である。どこから見ても笠を伏せたような姿をしている。古くから信仰の対象とされた山で、江戸時代に円空(えんくう)上人(1632~1695年)が開山し、文政年間(1818~1829年)には播隆(ばんりゅう)上人が、山頂に阿弥陀(あみだ)仏を奉納し再興したといわれる。
 登山道は2つある。新穂高温泉(1,090m付近)からの東面・笠新道登山口ルートがメイン。始めからかなりの急登が連続し、ブナ林・針葉樹林を経て、ニッコウキスゲなどの花畑、なだらかなカール地形の杓子(しゃくし)平(2,450m付近)へと登る。更に笠新道分岐からゆるやかな稜線を通り、抜戸岩を抜け、急な登りの後、こんもりした小ピーク、小笠の脇に立つ山荘に到着する。山荘からは、仏像が祀られている祠へと進む。山頂では槍・穂高連峰の眺めが広がる。
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みどころ

北アルプス南部にあり、麓のみならず、他の山々からも目立ち、「どこから見ても笠の姿を崩さない」と日本百名山を著した深田久弥は、「品格・歴史・個性」を兼ね備えた名峰と感嘆した。
 登山道は東面の笠新道と南面のクリヤ谷(難路)があり、ともに標高差1,800m以上の登りが続くハードコース。笠ヶ岳は、他の山々から少し離れてそびえているので、360度のパノラマ大展望が楽しめる。雲海越しに見る槍ヶ岳、穂高連峰から裏銀座、剱・立山と白山まで爽快な眺め。朝夕の景色も素晴らしい。
 山頂へはきつい登りが続く上級者向けなので、姿を眺めるだけなら新穂高温泉「新穂高ロープウェイ」がおすすめ。車窓からでも、西穂高駅屋上の展望台から優美な姿が見られる。奥飛騨温泉郷平湯温泉にも、ビューポイントがある。
 笠ヶ岳は、どの方向から見ても笠の形をした端正な姿と実感できる。
関連リンク 飛騨高山(一般社団法人飛騨・高山観光コンベンション協会)(WEBサイト)
参考文献 飛騨高山(一般社団法人飛騨・高山観光コンベンション協会)(WEBサイト)
『岐阜県の山』 島田 靖著、原 弘展著、石際 淳著 山と渓谷社
『ヤマケイアルペンガイド日本百名山登山ガイド』山と溪谷社編
『大きな地図で見やすいガイド 北アルプス南部』山と渓谷社
『大人の遠足ブック日本百名山あるき』JTBパブリッシング

2024年02月現在

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