飛騨民俗村 飛騨の里ひだみんぞくむら ひだのさと

高山市街の南西、松倉山麓にあり、有料施設の飛騨の里と、山岳資料館*がある無料施設の民俗村を合わせた施設である。飛騨地方各地に点在していた古い民家を移築・復元し、農山村の生産・生活用具などと共に紹介した野外集落博物館。
 飛騨民俗村(旧民俗館)は、御母衣(みぼろ)ダム建設により水没してしまう若山家住宅を移築・公開した1959(昭和34)年に始まり、1971(昭和46)年には、山岳資料館が公開され、飛騨の里も開村した。
 飛騨の里は、民俗村から約700m離れた高台にある五阿弥池(ごあみいけ)を中心とした約13万m2の敷地に、合掌造り*茅葺きや槫葺き(くれぶき)屋根の民家など20軒以上と、セイロ倉・木挽小屋・ハサ小屋・水車小屋・鐘撞堂・神社なども建ち並び、車輪のように丸く苗を植える田んぼである車田(くるまだ)や畑もあり、昔の農山村風景を再現している。
 主な民家は、屋根が四方にある入母屋(いりもや)造りから屋根が2面の合掌造りに移行する建物の旧若山家、小作を管理する建物である田舎(でんしゃ)の旧田中家、代々庄屋を務め集会用に部屋数の多い旧田口家、ムカイ柱という木の股を利用した柱を使った旧吉真(よしざね)家のほか、機織り実演の旧新井家、養蚕・わら細工の旧西岡家、飛騨の橇(そり)コレクションの旧八月一日(はづみ)家などである。
 伝統工芸集落ゾーンでは、一位一刀彫(いちいいっとうぼり)や飛騨塗*等の保存・実演がある。
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みどころ

飛騨の古く特色ある民家を移築復元して、なつかしい農山村の暮らしを再現し、車田の田植え・七夕飾りなど飛騨に伝わる季節の行事(限定期ライトアップ含む)を催して、忘れかけた日本の原風景を演出して、次世代にも伝えようとしている。
 飛騨の里では、先人達のそれぞれ地域風土の特性に合わせた工夫が随所に見られる。一口に飛騨地方といっても、雪の多い北部地域は急勾配合掌造りの茅葺き屋根、中部地域は「榑(クレ)」と呼ばれる板を葺き石を置いた屋根で、切妻造り建物。榑の材料はクリ材が耐久力が強く、水に強く腐りにくい為、屋根を葺くのに適し、瓦は高価であるので豊富な木材で対応した。
 民俗資料も豊富で、山村生産用具の他、養蚕(ようさん)の説明がクイズ・図解などで子供にもわかりやすく紹介されている。
 わら細工・さしこ細工・組ひもなどの実演や体験も日替わりで行われている。
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補足情報

*山岳資料館:高山市桐生町にあった旧高山測候所の建物を移築、内部に北アルプス飛騨側登山の資料、登山具の解説、飛騨の動植物の標本・剥製、気象・地学資料などを展示している。(冬期閉館)
*合掌造:庄川上流地方に建てられた茅葺・切妻造の大家屋を指す。3~4階からなり、積雪を防ぐためほぼ60度の急勾配の屋根をもち、釘・鎹(かすがい)をまったく使わず、荒縄と潅木で結合されている。1階は居間・寝室・仏間などで構成され、2階以上は養蚕場となっている。次男以下も分家せず、同一家屋に起居し、大家族を構成した。今ではその数も少なくなったが、飛騨の里などでも見ることができる。
*飛騨塗:自然のままの木目を生かした琥珀色の漆器。飛騨高山の伝統工芸品。
関連リンク 飛騨民俗村 飛騨の里(WEBサイト)
参考文献 飛騨民俗村 飛騨の里(WEBサイト)
高山市(WEBサイト)
『飛騨高山』パンフレット

2024年02月現在

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