静岡市は、県中央部に位置する。北端は長野県、山梨県に接し、南は駿河湾に面する。東は富士宮市、富士市、南西は高草山系で焼津市、藤枝市と接し、北西部は島田市、川根本町と接する。県庁所在地。首都圏と中京圏の中間に位置し、行政・文化・経済・産業の広域中枢拠点。
 JR東海道新幹線、JR東海道本線、静岡鉄道、大井川鉄道のほか、東名高速道路(静岡インターチェンジ、清水インターチェンジ)、新東名高速道路(新清水インターチェンジ、新静岡インターチェンジ)、国道1号、52号、150号、362号が通じる。
 市域は安倍川水系全域と大井川上流の井川地区および東部の清水地区からなる北部は赤石山脈の主部をなし、静岡・山梨・長野県境の間ノ岳(白根三山の一峰)から赤石岳を経て南へ3,000m級の高峰が続き、また、間ノ岳から山梨県境の山脈が山地は市街地のすぐ背後に迫っており、市域の約85%が山地となっている。中心市街地は安倍川、藁科川が流れ、静岡平野(静岡清水平野)に広がる。
 1889年(明治22)市制施行。長年に渡り幾度かの変遷を重ね、2003年(平成15)清水市と合併。2005年(平成18)政令指定都市に移行。葵、駿河、清水の3区がつくられた。その後、2006年(平成19)蒲原町を、2008年(平成22)由比町を編入。全国有数の広域都市である。歴史は古く、登呂遺跡(特別史跡)は水田農耕文化を知るうえで貴重で、また第二次世界大戦後に考古学の出発点となった遺跡として有名。古代には『万葉集』に「阿倍の市」が詠まれ、国衙が置かれて栄えた。中世南北朝以後は守護・戦国大名今川氏の本拠地となり、今川義元の時代には駿河、遠江、東三河支配の中心であった。また、近世には徳川家康の駿河、遠江、伊豆、甲斐、信濃5か国支配の拠点として発展し、駿府の繁栄は最高潮に達した。その後、徳川頼宣・忠長の城下町、忠長失脚後は城代が置かれ、駿府町奉行、駿府代官が支配。番城の町、宿場町(蒲原宿、由比宿、興津宿、江尻宿、府中宿、丸子宿)として栄えた。明治初期には藩庁所在地となり、1872年(明治5)静岡県庁設置後は政治・文化の中心都市として発展した。
 特色ある伝統的な在来工業が著しく発達し、伝統的な漆器、家具、建具工業は和洋家具工業に発展、木工の町ともよばれる。木漆製品は鏡台、針箱、雛具が多く、雛具は全国一の生産を誇る。かつて下駄製造が盛んだったが、現在ではサンダル、ケミカルシューズに転じ、サンダル生産は全国で上位。昭和30年代頃からプラスチック工業が出現し、プラスチックモデルは全国シェアの約9割を占め、有名。清水地区は全国有数の貿易港で、食品、缶詰、食用油、機械金属、石油精製などの工場が多数ある。農林業は、北部の山岳地帯では茶、中部地帯ではミカン、南部では米、野菜が栽培されている。久能海岸一帯は石垣イチゴの名産地として全国的に著名である。このほか、シイタケ、ワサビ、木材、林産業も盛ん。水産業は江尻漁港、用宗漁港を根拠地とする遠洋漁業と沿岸のシラス漁を主にしている。
 久能山東照宮(本殿、石野間、拝殿、太刀が国宝、その他13棟と美術品が国の重要文化財)、登呂遺跡(国の特別史跡)を始め、駿府城跡(駿府公園)、静岡浅間神社、臨済寺、吐月峰柴屋寺、清見寺、洞慶院、賤機山などの旧跡や古刹が多く、旧東海道の道筋には、本陣跡など歴史的建造物が残されている。大崩海岸、三保松原、日本平、井川湖など景勝地に全国から観光客やハイカーが訪れる。南アルプス国立公園の雄大な自然、梅ヶ島温泉などもある。県立美術館をはじめ、駿府博物館、市立芹沢銈介美術館、静岡市美術館、静岡音楽館AOI、清水文化センターなどの文化施設もある。年中行事としては4月上旬の「静岡まつり」、8月上旬の「清水みなと祭り」が知られ、名産品に銘茶、わさび漬け、安倍川餅、駿河湾のサクラエビなどがある。

観光資源一覧

塩見岳の写真

塩見岳 (長野県 伊那市 / 静岡県 静岡市 )

南アルプスのほぼ中央、長野県伊那市と静岡県静岡市の県境にあり標高は3,052m、漆黒の山体にずんぐりした頂をのせている。東側には大井川源流の谷が深く切れ込み、北は絶壁、西には天狗岩と呼ぶジャンダルムがあり、近づくとかなりきびしい表情である。  塩見の名前は、山頂から太平洋が見えるからという説もある。しかし塩見岳の山麓に塩...

赤石岳の写真

赤石岳 (長野県 大鹿村 / 静岡県 静岡市 )

赤石山脈すなわち南アルプスの南部にあり、赤石山脈の盟主で巨体をすえる。浸食が著しく、険しい尾根を四方に張り重量感があり、その存在感から赤石山脈の名にふさわしい。山名はこの地域の岩石に含まれるラジオラリヤ板岩*が赤紫色からである。山頂は広く、カール状の地形が散見される。  昔の信仰登山のなごりをとどめる石や鉄製の剣が...

荒川三山の写真

荒川三山 (長野県 大鹿村 / 静岡県 静岡市 )

塩見岳と赤石岳の間、前岳・中岳・東岳を荒川岳、荒川三山と総称している。南アルプス南部の主要山岳の縦走路の大半は南北方向であるが、この荒川三山は東西方向にならんでいる。前岳(3,068m)・中岳(3,084m)は巨大な一つの山塊だが、標高3,141mの東岳は南アルプスの中でも北岳、間の岳につぐ3番目の高峰。  最高峰の東岳は独立して重厚...

聖岳の写真

聖岳 (長野県 飯田市 / 静岡県 静岡市 )

長野県と静岡県の県境にあり、日本アルプス中で最も南にある3,000m峰である。登山口は長野県側では飯田市の遠山郷奥の易老渡先、便ヶ島からと、静岡県大井川上流の椹島からとがあるが、いずれも山深く3泊は見ておきたい。  宗教的な山名だが、語源はヘズル、肘を曲げたようなうねうねした川のヒジリ沢からか、登山道がまがりくねって登るこ...

日本平の写真

日本平 (静岡県 静岡市 )

静岡市の中南部、駿河湾に面する丘陵が標高 307mの有度山、その山頂付近が日本平公園となっている。公園は、富士山や清水港、三保松原の眺望で知られる。公園内の山頂付近にレストランやお土産ショップと展望施設の「日本平夢テラス」*1が建ち、山頂直下の平原ゾーンには大芝生広場、富士見の散策ガーデン、茶畑*2などが広がり、平原ゾーンの...

大井川の写真

大井川 (静岡県 静岡市 / 静岡県 島田市 / 静岡県 藤枝市 / 静岡県 大井川町 / 静岡県 吉田町 )

静岡・山梨・長野3県の県境にある南アルプス間ノ岳(3,189m)に源を発し、静岡県中部を縦断し駿河湾に注ぐ全長約168kmの川。 上流では切り立った深い峡谷を利用して、畑薙・井川など多くのダムが造られ電源開発がなされてきた。山岳景観に優れるとともに、接阻峡*1や寸又峡などの渓谷の景勝地も多い。  中流の川根地方は、大井川が「鵜山...

三保松原の写真

写真提供:公益財団法人するが企画観光局

三保松原 (静岡県 静岡市 )

JR東海道本線清水駅から南へ約6kmの駒越を基点に、東北方向へ約5kmに及ぶ砂嘴*1が駿河湾に突出している。この砂嘴の内側には清水港を抱え、駿河湾に面した外側に白砂と松の緑が連なる浜があり、これが三保松原である。  松原の東北端の鎌ガ崎付近は海越しの富士山の眺望がよく、『万葉集』以来の歌枕*2として親しまれ、江戸時代には浮世絵*...

特別史跡 登呂遺跡の写真

写真提供:静岡市立登呂博物館

特別史跡 登呂遺跡 (静岡県 静岡市 )

JR東海道本線・東海道新幹線静岡駅から南に約3kmにある。登呂遺跡公園として整備され、静岡市立登呂博物館*1が隣接している。 1943(昭和18)年、プロペラ工場の建設のために水田が掘り起こされた際、地下1mあたりから広範囲にわたって約1900~2000年前の弥生時代の遺跡が発見された。第2次世界大戦後、1947(昭和22)年から4年間をかけて発...

久能山東照宮の写真

久能山東照宮 (静岡県 静岡市 )

JR東海道本線・東海道新幹線静岡駅から南東へ約7.5km、有度山の南に位置する久能山の山頂(標高216m)に鎮座する。東照宮へは、久能山山麓からは16折、1,159段の急な石段*1を登るか、あるいは日本平からのロープウェイを利用する。社殿をはじめ楼門・鼓楼・神楽殿・神庫・玉垣・渡廊などの建築物は、山頂付近の傾斜を利用して巧みに配置され...

静岡浅間神社の写真

静岡浅間神社 (静岡県 静岡市 )

JR東海道本線・東海道新幹線静岡駅の北西に約2km、静岡の名のもとになった賎機山(しずはたやま 標高171m)を背にして鎮座する。約4.5万m2の境内に、神部(かんべ)神社・浅間(あさま)神社・大歳御祖(おおとしみおや)神社の3本社*1と、麓山(はやま)神社・八千戈(やちほこ)神社・少彦名(すくなひこな)神社・玉鉾(たま...

駿府城跡(駿府城公園)の写真

駿府城跡(駿府城公園) (静岡県 静岡市 )

JR東海道本線・東海道新幹線静岡駅の北700mにある平城の城跡で、明治以降は石垣と堀を残すのみだったが、1989(平成元)年に静岡市市制100周年を記念して巽櫓*1が復元され、現在は駿府城公園として市民に親しまれている。  駿府城は今川氏*2・武田氏のあと駿府を治めた徳川家康*3が1585~1590(天正13~18)年に築いた城で、三河・駿河・遠...

静岡市立芹沢銈介美術館の写真

写真提供:静岡市立芹沢銈介美術館

静岡市立芹沢銈介美術館 (静岡県 静岡市 )

JR東海道線・東海道新幹線静岡駅から南に3km、登呂公園内に建つ市立美術館で、1981(昭和56)年に開館。静岡市出身の染色家で人間国宝である芹沢銈介*1の作品と収集品を収蔵、展示している。  収蔵品は芹沢銈介が型絵染の技法で制作した着物・帯・のれん・夜具地・壁掛・屏風・装幀本など約1,300点と、芹沢銈介の収集した染織品・木工品・...

丸子のとろろ汁の写真

写真提供:丁子屋

丸子のとろろ汁 (静岡県 静岡市 )

丸子の宿はJR東海道本線・東海道新幹線静岡駅の西南7km、国道1号に沿った地域で東海道五十三次の宿駅があったところ。鞠子とも書いた。とろろ汁の丸子として古くから*1知られ、『東海道中膝栗毛』*2の中では弥次さん、喜多さんが立ち寄り、歌川広重は『東海道五十三次』の画題として取り上げ、芭蕉の句*3にも詠み込まれている。  これらの...

臨済寺の写真

写真提供:臨済寺

臨済寺 (静岡県 静岡市 )

JR東海道本線・東海道新幹線静岡駅から北へ約3km、静岡浅間神社からは約1kmの賎機山(しずはたやま)東麓にある。臨済宗妙心寺派。山門につづく境内は築地塀・石段・踏み石が直線的に整然と配され、禅寺にふさわしい厳粛な雰囲気が漂う。1536(天文5)年に今川義元*1が兄氏輝の菩提寺として、妙心寺の住持などを歴任した大休宗休に請い、開闢...

桜えびの料理の写真

写真提供:由比港漁協

桜えびの料理 (静岡県 静岡市 )

由比港は、東海道本線、国道1号線、東名高速道路などの大動脈が、北側から迫る山と南側の駿河湾に挟まれた狭隘な海岸線に集まるところに、ひっそりとある。駿河湾でしかとれない桜えび*1の存在は、江戸時代*2から知られていたものの、桜えび漁*3が広まったのは、1894(明治27)年に2艘一組でアジの網引き漁をしていた際に、偶然、網が深く入...

安倍の大滝の写真

安倍の大滝 (静岡県 静岡市 )

JR東海道本線・東海道新幹線静岡駅から北へ約45kmの梅ケ島温泉*1から3つの吊橋を渡り、沢づたいの山道を約1.2kmたどると目前に現われる。高さは約90m、幅は4mほど。安倍川の源流を構成している沢の上流にあたる。

大谷崩の写真

大谷崩 (静岡県 静岡市 )

静岡市の最北、山梨県境にあるのが標高1,999.7mの大谷嶺(おおやれい)。この山の南斜面には山体崩壊で形成された大谷崩れ(おおやくずれ)があり、日本三大崩れ*1のひとつといわれる。  山体崩壊のあった北側尾根上には線状凹地*2が発達し、緩やかな稜線を作っている。この山体崩壊は宝永地震*3(1707年)によってできたと記録されており...