塩見岳しおみだけ

南アルプスのほぼ中央、長野県伊那市と静岡県静岡市の県境にあり標高は3,052m、漆黒の山体にずんぐりした頂をのせている。東側には大井川源流の谷が深く切れ込み、北は絶壁、西には天狗岩と呼ぶジャンダルムがあり、近づくとかなりきびしい表情である。
 塩見の名前は、山頂から太平洋が見えるからという説もある。しかし塩見岳の山麓に塩がついた地名が多くあり、特に大鹿村には鹿塩という塩分濃度が高い温泉があり、これから塩見岳になったのではと考えられている。
 登山は鳥倉林道から入るルートとなり、途中の標高2,580mのわが国の峠では最も高い三伏(さんぷく)峠経由となる。
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みどころ

南北から見ると天狗岩のピークを従え大小の椀を伏せた独特の形で強烈な印象を与える。特に三伏峠からみた塩見岳の姿は美しい。深田久弥もこの姿を天下一品であると述べている。
 一方西側の伊那地方から見るときれいなピラミッドに見え、そのギャップに驚かされる。特に中央アルプスロープウェイ山頂駅からは左に仙丈ヶ岳、北岳のピークから右側の荒川三山の中間に特別目立つピラミッドをはっきり望むことができる。
 塩見岳から白根三山、荒川三山への縦走ルートは長大で時間がかかるため困難を伴い、それだけに縦走した人には思い出に残りやすい山である。
 周辺に高い山がないため、山頂からの眺望は素晴らしい。北方の白根三山や南峰の荒川三山の眺めが南アルプスの奥深さを感じさせてくれる。(林 清)
関連リンク 伊那市(WEBサイト)
関連図書 「日本百名山」深田久弥、「カラー南アルプス」白旗史郎 山と渓谷社
参考文献 伊那市(WEBサイト)
「甲信越百名山」 山と渓谷社

2022年09月現在

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