静岡市立芹沢銈介美術館しずおかしりつせりざわけいすけびじゅつかん

JR東海道線・東海道新幹線静岡駅から南に3km、登呂公園内に建つ市立美術館で、1981(昭和56)年に開館。静岡市出身の染色家で人間国宝である芹沢銈介*1の作品と収集品を収蔵、展示している。
 収蔵品は芹沢銈介が型絵染の技法で制作した着物・帯・のれん・夜具地・壁掛・屏風・装幀本など約1,300点と、芹沢銈介の収集した染織品・木工品・陶器・漆器などの世界の工芸品約4,500点。年に4回の展示替えが行なわれ、順次公開している。石造の建物は建築家白井晟一の晩年の設計。
 附属施設として「芹沢銈介の家」がある。これは芹沢の暮らしていた二階建ての建物を東京都大田区蒲田から移築したもので、美術館開館日の毎週日曜日、祝日(8月は土・日・祝)に公開。
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みどころ

芹沢銈介の作品制作の手法は型絵染。日本の伝統的な染色技法で、渋紙を彫った型紙ともち米を主原料とする防染糊で染色する。
 芹沢のデザイン、模様は一貫して明るく伸びやかな印象を受けるものが多く、常に新鮮さが感じられる。模様は様々で、文字、植物、人物、風景、幾何学模様などがあり、その種類も、着物、帯、のれん、屏風、額絵、絵本などと多岐多様。これらの作品のエッセンスを堪能できる。
 門を入ると正面に噴水を背に手入れの行き届いた寒椿がまず目に入る。その突き当りを左に曲がると緻密で変化に富んだ石組みのなかにエントランスがあり、噴水を配した中庭を中心として回廊式の建物は、ユニークで美しい。
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補足情報

*1 芹沢銈介:1895(明治28)~1984(昭和59)年。静岡市葵区生まれ。東京高等工業学校(現・東京工業大学)工業図案科卒業後、民藝運動で知られる柳宗悦と、沖縄の染物・紅型(びんがた)に出会ったことを契機に、型染を中心とした染色の道に進む。色彩と模様に対するユニークな感覚や従来の染色の枠組みにとらわれない新鮮で創意あふれる作品は、海外でも評価が高い。1956(昭和31)年に重要無形文化財保持者(人間国宝)として認定され、1976(昭和51)年文化功労者となる。日本及び世界の工芸品の収集家としても知られている。
関連リンク 静岡市立芹沢銈介美術館(WEBサイト)
参考文献 静岡市立芹沢銈介美術館(WEBサイト)

2023年10月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。

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