荒川三山あらかわさんざん

塩見岳と赤石岳の間、前岳・中岳・東岳を荒川岳、荒川三山と総称している。南アルプス南部の主要山岳の縦走路の大半は南北方向であるが、この荒川三山は東西方向にならんでいる。前岳(3,068m)・中岳(3,084m)は巨大な一つの山塊だが、標高3,141mの東岳は南アルプスの中でも北岳、間の岳につぐ3番目の高峰。
 最高峰の東岳は独立して重厚な頭をもたげおり、この東岳を山梨県側では悪沢岳(わるざわだけ)と称しており、登山家も悪沢岳と呼ぶ傾向にある。一帯にはカールも見られ、中岳南斜面は高山植物の宝庫である。
 悪沢は一猟師の言葉「険悪な沢」というところからきている。
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みどころ

赤石岳と対峙しており、ここからのお互いの山の眺望がすばらしい。赤石岳からは荒川三山が横に並びそそり立つ城壁のようである。悪沢岳(東岳)の東斜面と中岳南東斜面には、日本最南端のカール地形があり、その底部にはモレーンもある。カールには10数種類以上の高山植物が花々を咲かせ、前岳の東南の斜面には、南アルプス最大の広さの花畑が広がる。
 深田久弥は東岳という附属的な名前でなく、悪沢岳と呼んでほしいと述べており、地域固有の名前を大事にしていきたい。
 小暮理太郎*と深田久弥が東京から見え感激した記している。最近では遠く東海道線の車窓からでも、白銀の横一列に並んだ姿をはっきり見ることができる。(林 清)
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補足情報

*小暮理太郎:明治時代群馬県出身の登山家。191(大正2)3年日本山岳会に入会し案内人なしで槍ヶ岳、薬師岳、劔岳(つるぎだけ)、立山に登っている。その後も中部地方を多く登山し、日本の山岳界に大きな影響を及ぼす。1935(昭和10)年日本山岳会会長。主著に「山の憶ひ出」2巻。
関連リンク 大鹿村観光協会(WEBサイト)
参考文献 大鹿村観光協会(WEBサイト)
YAMAKEI ONLINE(株式会社 山と溪谷社)(WEBサイト)
日本アルプス登山ルートガイド(WEBサイト)
「カラー 南アルプス」 白旗史郎 山と渓谷社

2022年09月現在

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