安倍の大滝あべのおおたき

JR東海道本線・東海道新幹線静岡駅から北へ約45kmの梅ケ島温泉*1から3つの吊橋を渡り、沢づたいの山道を約1.2kmたどると目前に現われる。高さは約90m、幅は4mほど。安倍川の源流を構成している沢の上流にあたる。
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みどころ

梅ケ島温泉の入口付近からすぐの吊橋を渡って渓谷沿いの山道を入る。途中、登りはかなりきつく、吊り橋や小渓流を渡る所もある(足回りは整えたい)が、こんもりとした森に囲まれ、渓流の音を聞きながらのハイキングは気持ち良い。
 1913(大正2)年発行の『梅ケ島村誌』にも、「碧潭變して断崖に懸り水簾となるもの称して大瀧といふ 高さ三百七十五尺(約112m)幅拾弐尺餘(約3.6m)四時水勢強く飛沫霧を生じ真に美観を極む」と描写しているとおり、幅はあまりない滝だが、水量豊かにまっすぐに流れ落ち、すっきりとした姿の爽快な滝で、見ごたえがある。滝壺近くまで降りられ、滝のほぼ全貌を仰ぎ見ることができる。
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補足情報

*1 梅ケ島温泉:安倍川の最上流部の狭隘な谷間に湧く温泉。「梅ケ島村誌」は「往古杣人乃林間に分け入りしに依り發見せられたりといふ その後ち應神天皇の御時黄金湯の名称を賜はりし」という言い伝えを記しているが、文献的な記録としては1764(明和元)年の湯銭に関する規定が遺されており、江戸時代には湯治場として駿河地方では知られていた。現在、宿泊施設や日帰り温泉施設が10軒ほどが安倍川の渓流の谷あいにへばりつくように建ち並んでいる。泉質はアルカリ単純硫黄泉、源泉の湯温は39℃。