出雲市
印刷する出雲市は県北東部にあり、東は松江市、東から南は雲南市、南は飯南町、西は大田市に接し、西から北は日本海に面する。出雲地方の中心都市。
JR山陰本線が沿岸部を走り、出雲市駅で一畑電車が分岐する。知井宮にはJRの車輌基地が建設されている。国道9号、184号、431号が通じ、東京、大阪、福岡、名古屋などとを結ぶ高速バスが運行する。また、山陰自動車道の斐川、出雲インターチェンジ、山陰道の出雲多伎インターチェンジがある。北東部には出雲空港があり、仙台、東京、名古屋、福岡などとの間に便がある。
北部は国引き神話で知られる島根半島の丘陵地、中央部は出雲平野、南部は中国山地からなる。出雲平野は、中国山地に源を発する斐伊川と神戸川の二大河川により形成された沖積平野で、斐伊川は平野の中央部を東進して宍道湖に注ぎ、神戸川は西進して日本海に注ぐ。また、灌漑用水路として1687年(貞享4)開削された高瀬川が市街地を流れる。日本海に面した島根半島は、リアス式海岸と宍道湖北山山系で形成されている。
1941年(昭和16)市制施行。以降数回の編入をおこない、2005年(平成17)平田市と4町と合併して新しい出雲市となり、2011年(平成23)1町を編入し現在に至る。中心地の今市は室町時代からの市場町で、平田町は江戸から明治期、雲州木棉の集積地として賑わった。大社町は出雲大社の鎮座地として栄えた。大正末期に出雲製織(後の大和紡績)が大型工場として操業を始めたのに続き、グンゼ、鐘紡(後のカネボウ)、都築紡績(現、KBツヅキ)も進出し、中海新産業都市の西の中心となった。
工業は繊維工業を主とする。在来工業として出雲藍染め、張り子の虎、万祥山焼などがある。また、出雲平野では米作が盛んで、ブドウやカキなどの果樹栽培、園芸、畜産も行われている。
出雲大社の本殿は国宝、また楼門などの建築群は重要文化財に指定されている。見々久神楽、切明(きりあけ)神事は県の無形民俗文化財である。そのほか、斐川町神庭の国指定史跡荒神谷遺跡は大量の銅剣が出土したことで著名(出土品は国宝に指定)。上塩冶地蔵山、今市大念寺、上塩冶築山、宝塚、上島などの古墳は県下の後期古墳の代表的なもので国の史跡に指定されている。八岐大蛇伝説ゆかりの「斐伊川祭り」「おろち太鼓祭り」や、「一式飾り」で知られる平田天満宮祭などが行われている。他に立久恵峡、一畑薬師、鰐淵寺、多伎いちじく温泉、日御碕、島根ワイナリーなどがある。
観光資源一覧
出雲平野の築地松 (島根県 出雲市 / 島根県 平田市 )
島根県出雲市の出雲平野に散在する築地松の起こりは定かではないが、郷村社会の成り立ちの頃、この地方の豪族が河川の洪水時に浸水を防ぐため、屋敷の土地の高さを数m高くしたうえ、屋敷周りに土居(築地)を築き、その土居を固めるため水に強い樹木や竹を植えたのが、築地松のはじまりと言われている。 当初は松以外の木が植えられていた...
宍道湖のシジミ漁 (島根県 出雲市 / 島根県 松江市 )
島根県北東部に位置し、出雲平野を流れる斐伊川(ひいかわ)を主な流入河川とする宍道湖は、東西約17km、南北約6km、周囲47km、全国第7位の面積をもつ汽水湖である。 宍道湖で獲れるシジミは「ヤマトシジミ」*で、全国1位の漁獲高を誇り、島根県全体で全国の4割ほどを占める。 シジミ漁は資源保護のため、1週間で4日しか行わず、漁...
立久恵峡 (島根県 出雲市 )
島根・岡山の県境赤名峠に源を発して大社湾に注ぐ神戸川の上流にあり、電鉄出雲市駅からは約10km南に位置する。清流に沿って約1kmにわたり高さ100~200mの岩壁がそそり立つ。特に左岸は、神亀岩・烏帽子岩・ろうそく岩・屏風岩などの名で呼ばれる奇岩が連続する。これらの奇岩は集塊質安山岩が風化・水食されてできたもので、小さな谷が複雑...
荒神谷遺跡 (島根県 出雲市 )
JR荘原駅の南西約4kmの谷あいで、1984(昭和59)年に弥生時代の青銅器が大量に発見された。 遺跡からは、銅剣358本*が出土し、翌年には、銅剣出土地点から約7m離れた場所から、今度は銅鐸6個と銅矛16本が同時に発掘され、考古学界の注目を集めた。
出雲大社 (島根県 出雲市 )
出雲平野の西北端、島根半島の脊稜山地を背にする地にある。 創建は、『古事記』や『日本書紀』によると、神代、天孫降臨に際し、大国主大神が国土を譲られたのを喜ばれた天照大神が、大国主大神のために広大な宮殿「天日隅宮(あめのひすみのみや)」を建てたのに始まるという。この折、祭祀を司ったのが天照大神の第2子天穂日命(あめのほ...
日御碕神社 (島根県 出雲市 )
島根半島の西部、小島・岩礁が散在し変化に富んだ海岸線が特徴的で、稲佐浜から日御碕へつづく日御碕海岸*にあり、傾斜地を利用して権現造の社殿が立つ。朱塗の楼門をくぐると、正面に下の宮と呼ばれる日沉宮(ひしずみのみや)、右手上に上の宮と呼ばれる神の宮が鎮座するが、古く下の宮は海岸の「清江の浜」の経島(ふみしま)に、上の宮...
一畑薬師(一畑寺) (島根県 出雲市 )
島根県を代表する臨済宗の寺で、一畑薬師信仰の総本山でもある。島根半島の中央、標高200mの山上に位置する。松江と出雲から車で約30分。西暦894(寛平6)年、漁夫与市が日本海中から薬師如来を得たところ、夢のお告げにより盲目の母親の目が開かれたため、仏像をこの地にまつったのが寺の始まりである。「目のやくし」として信仰を集める他...
鰐淵寺 (島根県 出雲市 )
一畑電鉄雲州平田駅から西へ約7km、島根半島西側の北山山中にある。 594(推古2)年創建の天台宗の名刹。平安時代末期に修験道の霊地として全国に知られ、多数の堂塔を擁した。14世紀にはそれまで北院・南院に分かれていた寺内が和合・統一し、根本堂が創建された。 また、出雲大社の祭事において鰐淵寺僧が大般若経転読(だいはんにゃ...
旧大社駅 (島根県 出雲市 )
1912(明治45)年に国鉄により出雲市駅から大社町への延伸が行われ、それに伴い開業*した。現在残されている駅舎は1924(大正13)年に建築された木造平屋建で、2代目駅舎となる。設計は鉄道管理局の技官丹羽三雄。
出雲そば (島根県 出雲市 )
出雲地方に本格的にそばが広まったのは、1638(寛永15)年、そば処の信州松本から松平直政が出雲松江藩主として着任した際に、そば職人を連れてきたことが始まりと言われている。 出雲そばは、そばの実と甘皮まで全て挽いた「挽きぐるみ」*と呼ばれるそば粉を使用しているため、色が濃く香りと風味が強いのが特徴。 そばの品種は、早...
稲佐の浜 (島根県 出雲市 )
出雲大社西方800mほどにある海岸で、かつては弁天島の前まで波が打ち寄せていたが、近年砂浜が広がり、弁天島と浜がつながった。岩上には鳥居と祠があり、豊玉毘古命(とよたまひこのみこと)が祀られている。国譲り神話、国引き神話の舞台である。 国譲り神話では、高天原から降った建御雷神(たけみかずちのかみ)が、この浜辺に剣を立...
出雲大社大祭礼 (島根県 出雲市 )
「山陰無双之節会、國中第一之神事ナリ」と称えられるほど盛大な祭事であった「三月会(旧暦3月1日~3日間)」を引き継ぎ、出雲大社が官幣大社に定められたのを記念して、1886(明治19)年から開催されるようになったもので、5月13日を前夜祭とし、14日から16日の3日間に渡る儀式は大祭礼と呼ばれている。 14日は「勅祭日」と呼ばれ、天皇...
田儀櫻井家たたら製鉄遺跡 (島根県 出雲市 )
島根県中部、JR山陰本線田儀駅から車で10分の所にある。たたら*製鉄とは、土製の炉の中で木炭の燃料で砂鉄を溶かして鉄をつくる日本古来の製法。中国地方では6世紀から盛んに行われた。出雲、石見地方は、良質の砂鉄と炭になる森林資源が豊富なことから、幕末から明治初頭にかけて鉄生産量の9割を占めた。 江戸前期、奥出雲町にある可部...
島根県立古代出雲歴史博物館 (島根県 出雲市 )
一畑電車の出雲大社前駅から徒歩7分、出雲大社のすぐ東隣に位置する。 2007(平成19)年3月に開館。1984(昭和59)年、荒神谷遺跡(こうじんだにいせき)*から358本の銅剣が、その後続けて銅矛16本、銅鐸6個が発見され、文化財の保存・展示・活用の方法が模索される中、「島根県古代文化活用委員会」の設置から18年をかけ、博物館建設が...
神門通り (島根県 出雲市 )
出雲大社への参道の入口として1914(大正3)年に整備された宇迦橋(うがばし)の一の鳥居から、出雲大社の参道入口前にある広場の勢溜(せいだまり)まで続く、700mの表参道。2013(平成25)年、電線地中化が行われ、石畳に整備された*。出雲大社に向かって緩やかな上りの勾配のある坂の両脇に、出雲の名物「出雲そば」や出雲発祥の「ぜんざ...