神門通りしんもんどおり

出雲大社への参道の入口として1914(大正3)年に整備された宇迦橋(うがばし)の一の鳥居から、出雲大社の参道入口前にある広場の勢溜(せいだまり)まで続く、700mの表参道。2013(平成25)年、電線地中化が行われ、石畳に整備された*。出雲大社に向かって緩やかな上りの勾配のある坂の両脇に、出雲の名物「出雲そば」や出雲発祥の「ぜんざい」の店、旅館、土産物屋など多くの店舗が並ぶ賑やかな通り。
 神門通りの中ほどには、一畑電車「出雲大社前駅」がある。1930(昭和5)年に建てられた鉄筋コンクリート平屋建て、ふくらみのある半円形の緑の屋根を持つ外観、白く塗られた内壁や高い天井、ステンドグラスの窓が特徴的で、1996(平成8)年に国の登録有形文化財に指定された。
 出雲大社の門前、神門通りに面して建つ木造二階建で、正面に入母屋造の玄関を備える「日の出館」も、2015(平成27)年に国の登録有形文化財に指定されている。近代における大社詣の歴史を物語る和風建築と評価されている。
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みどころ

神門通りの入口にある宇迦橋の大鳥居は、日本一の大鳥居とも呼ばれる。鉄筋コンクリート造の明神鳥居で、高さ23.3m、鳥居の中央にある扁額は3.6m×2.7mと、畳6畳分もの大きさがある。
 飲食店、土産物屋など様々な店舗があるので、ガイドマップを片手に、食べ歩きにショッピングなど、思い思いに好みの店を訪ねてみるのも楽しい。店先にはベンチやフラワーポットなども置かれており、おもてなしの気持ちを感じる。
 出雲大社前駅には、一畑電鉄が1928(昭和3)年に製造した、国内最古級の電車として知られる「デハニ50形」が展示されている。オレンジ色の車両、内部には木が多用され、黒くつやのある色合いは長い年月を感じさせる。2009(平成21)年3月に営業運転を終了したが、2010(平成22)年に公開された一畑電車を舞台にした映画「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語*」にも登場している。
 なお、神門通りの中ほどには、出雲大社の参拝や神門通りのそぞろ歩きに重宝する、駐車場「神門通り交通広場」がある。
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補足情報

*神門通りは、出雲大社の参道を延伸して1913(大正2)年に路線が開通され、1916(大正5)年に鉄筋コンクリート造の大鳥居と松280本が地元篤志家によって寄贈されて、参道の体裁が整った。しかし、戦後、自動車の増加により歩いて参詣する人が減り、沿道の商店街は長らく活気のない状態が続いていた。2013(平成25)年の出雲大社の本殿遷座祭(大遷宮)を控え、島根県、出雲市、地元が一体となり、風格と賑わいのある通りへの再生に向けて、道路幅員の見直しや路面の石畳化、電線地中化、オリジナル照明の整備などに取り組んだ。
*RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語:2010年製作、130分、松竹配給。50歳を目前に電車の運転士になる決意をした男と、家族の再生を描いたドラマ。一流企業に勤める49歳の肇は、ろくに家庭も顧みず、忙しく仕事に追われる日々を送っていた。そんなある日、故郷の島根で一人暮らしをしている母が倒れたという知らせを受ける。それをきっかけに仕事一筋の人生に疑問を抱き始めた肇は、子供の頃に憧れていた一畑電車、通称“バタデン”の運転士になることを決意する。