郷土景観のたびれぽ

 前回は安曇野の地形、地名、伝説と神々の奥行きについてレポートしたが、今回は歴史が生む奥行きや安曇野の楽しみ方について触れてみたい。   〇歴史が生む奥行き ① 荘園の形成  この地の耕作地として相応しい平坦部・・・ 続きを読む

〇はじめに  安曇野は、西側に迫る峻厳な北アルプスの山並みと東の筑摩山地に挟まれた盆地状の平坦地が北に向かって奥深く伸びている。その盆地状の地形に北アルプスから流れ出した、数多くの川が扇状地や沖積地を造り、西から東に向か・・・ 続きを読む

 日本の川は、大陸の大河と異なり、どの川も山岳地帯から海に一気に流れ出す急流だと言っても言い過ぎではない。李白の「孤帆の遠影碧空に尽き 唯だ見る長江の天際に流るるを」という揚子江を詠んだ漢詩のような大河は見当たらない。当・・・ 続きを読む

 重なり合う島影、行き交う船、静かな波の音。瀬戸内海は、本当に見聞きして、思い描いていたとおりの穏やかな海だ。この海を見慣れていない頃は、ゆったりと流れる大河のように思えた。明治の頃、中国の政治家が瀬戸内海を見て「日本に・・・ 続きを読む

〇江戸期に一変した日本の農業景観   明治初期に東北地方を歩いた、英国の女流探検家イザベラ・バードは、山形県の置賜地方について、「まさしくエデンの園である。『鋤の代わりに鉛筆で耕したかのよう』であり」、コメ、綿をはじめ、・・・ 続きを読む

 以前、信州の白馬村大出公園近くで奇妙な道祖神に出会った。信州の道祖神は、双体神1基ということ多いが、ここの道祖神は、天鈿女命と猿田彦と思われる神様がそれぞれ1基ずつ並例して立っていた。この形式がそれほど不思議とは思わな・・・ 続きを読む

 ローカル線というと、フーテンの寅さんをイメージしてしまう。もちろん、山田洋二監督はそのことを十二分に意識し、ローカル線の駅や車両、あるいは路線を、ストーリーの舞台だったり、大道具だったり、背景だったりと、シリーズの多く・・・ 続きを読む

 「道」は、人間の営為があって初めて存在する。もっとも獣道は、動物の行動パターンによって出来上がるし、風の道というものもあるが、これは風土、地形が生み出すもので、人間の営為への比喩的表現である。人間にとっての「道」は、自・・・ 続きを読む

里の雑木林  私にとって林や森といえば、子供の頃よく登った甲府盆地の北にそびえる帯那山(標高1422m)への沢伝いの登山道がもっとも印象深い。帯那山へは、現在は頂上直下まで林道が通じているが、60年ほど前は武田神社の北、・・・ 続きを読む

 日本の景観を語るとき、全国各地に見られる看板は、すこぶる評判が悪い。東京の新宿や渋谷、そして大阪の新世界、道頓堀などなど、何でもありのゴチャゴチャ感。さらに郊外の観光地に行っても、自然空間の美を頓着なくぶち壊す看板をは・・・ 続きを読む