浜松市は、県西部にある市。東は磐田市、森町、島田市、川根本町、西は湖西市、愛知県豊橋市、新城市、東栄町、豊根村、北は長野県飯田市、天龍村と接し、南は太平洋に面する。首都圏と関西圏の2つの経済圏のほぼ中間に位置する。
 JR東海道本線、東海道・山陽新幹線、飯田線、天竜浜名湖鉄道、遠州鉄道が東西および南北に通じ、国道1号、42号、150号、152号、257号、301号、362号、473号、474号が走る。さらに東名高速道路の浜松、浜松西、三ヶ日、新東名高速道路の浜松浜北、浜松いなさ、浜松いなさ北インターチェンジがあり、東名高速道路三ヶ日ジャンクションおよび新東名高速道路浜松いなさジャンクションで三遠南信自動車道が接続するなど、県西部の交通網の中心となっている。
 北は赤石山系、東は天竜川、南は遠州灘、西は浜名湖と四方を異なる環境に囲まれる。長野県諏訪湖に端を発する急流河川の天竜川が本市を縦断し、遠州灘へと注ぎ、西端には汽水湖の浜名湖がある。天竜川中流域の急しゅんな中山間地、扇状地に広がる下流域の平野部、河岸段丘の三方原台地、浜名湖から太平洋の沿岸部によって構成されている。面積は1,558.04km2で静岡県の約2割を占めている。
 1911年(明治44)市制施行。以降複数回の市域の変遷があり1996年(平成8)中核市に移行。2005年(平成17)の平成大合併で、天竜、浜北の2市8町1村と合併。2007年(平成19)政令指定都市に移行し、中、東、西、南、北、浜北、天竜の7区がつくられた。古くから人の居住が認められた地域で、中南部の浜北地域の石灰採石場から洪積世(更新世)の人骨が発見され、浜北人と命名された。戦国時代、今川氏は曳馬城を拠点として遠江を支配。1570年(元亀1)徳川家康は三河国岡崎城から曳馬城に移り、曳馬を浜松と改め、家康の遠江支配とともに発展した。江戸時代には譜代大名の城下町とともに東海道の宿場町として繁栄。また、舞阪も東海道五十三次の一宿となっていた。1876年(明治9)静岡県に属すると政治行政的機能を失い、以後は商業、工業都市として発展の道をたどる。
 緩傾斜をなす三方原丘陵地ではミカン、茶、平野部では米、温室メロン、セロリ、海岸部ではタマネギ、エシャレットなどを栽培。そのほか、花卉栽培も盛ん。北部の天竜林業地帯ではスギ、ヒノキなどの良材を産する。漁業ではウナギ、スッポン、海苔、カキなどの養殖が盛ん。天竜川沿いの畑地には江戸時代よりワタの栽培が行われて機織りが盛んとなり、明治後半には近代工業へ脱皮して遠州織物の主産地となった。明治末年には国鉄(現、JR)浜松工場が誘致され、自動車・オートバイ工業、楽器製造など世界的な工業が集まる。現在は東海地域のテクノポリス母都市として産業、学術、住居の複合都市の機能をもつ都市計画が進められている。
 三方原南端にある縄文後・晩期の蜆塚遺跡(国指定史跡)がある。伊場遺跡は弥生時代から鎌倉時代にかけての複合遺跡。龍潭寺庭園(国の名勝)、国指定重要文化財は方広寺七尊菩薩堂、中村家住宅、宝林寺仏殿および方丈、浜名惣社神明宮本殿、摩訶耶寺の千手観音・不動明王立像、大福寺の普賢十羅刹女像などがある。「西浦の田楽」と「遠江のひよんどりとおくない」は国指定の重要無形民俗文化財。そのほか、文化施設として市立の博物館・美術館・楽器博物館、市民ミュージアム浜北、秋野不矩美術館、万葉の森公園、白井鉄造記念館などがある。浜名湖湖岸には舘山寺温泉、フラワーパーク、動物園、遊園地などがある。天竜川上流には日本有数の佐久間ダム、秋葉山、赤石山脈の山岳地帯に続き、付近は天竜奥三河国定公園に指定されている。

観光資源一覧

浜名湖の写真

写真提供:公益財団法人 浜松・浜名湖ツーリズムビューロー

浜名湖 (静岡県 浜松市 / 静岡県 湖西市 )

静岡県南西端に位置し、湖面面積約65km2、周囲114kmで全国10番目の大きさの湖である。古くから「遠淡海(とおつおうみ)」と呼ばれる景勝地*1として知られていた。陸地内部の浸食谷が沈降し海水が浸入したのち、湾口を天竜川の漂砂による砂州でふさがれて湖となった海跡湖である。遠州灘とつなぐ現在の今切の水道は、1498(明応7...

東海道の松並木の写真

東海道の松並木 (静岡県 浜松市 / 静岡県 湖西市 )

JR東海道本線舞阪駅から南へ200mほどの旧東海道にある。この松並木は1604(慶長9)年徳川家康の命*1により街道の整備が進み、一里塚や街道筋の両側に松(宿、街道によっては杉、榎など)の植栽が行われたのが始まりと言われている。この舞阪宿でも正徳年間(1711~1716年)には宿場の東はずれ(見付石垣)から東海道を東に向かい、8町40間(...

奥山方広寺の写真

奥山方広寺 (静岡県 浜松市 )

天竜浜名湖鉄道気賀駅より北へ約8km、臨済宗方広寺*1派の大本山。1371(応安4)年、当地を支配していた奥山六郎次郎朝藤が後醍醐天皇の皇子無文(むもん)禅師を招き、土地、建物を寄進し創建*2した。このため、同寺の開基は奥山六郎次郎朝藤とし、開山を無文禅師としている。本尊は木造釈迦如来及両脇侍坐像*3。同寺の鎮守である半僧坊大権...

秋葉山本宮秋葉神社の写真

秋葉山本宮秋葉神社 (静岡県 浜松市 )

浜松市の中心街から北へ約30km、南アルプスの南端、標高866mの秋葉山山頂に鎮座し、秋葉山を御神体として火之迦具土大神(ひのかぐづちのおおかみ 別称:火産霊神)を祀る。社伝によれば、秋葉の火の神の社として709(和銅2)年の創建*1と伝えられる。中世両部神道*2の影響を受け、秋葉大権現と称し、火防の神の総本宮として名高い。とくに...

龍潭寺の写真

龍潭寺 (静岡県 浜松市 )

天竜浜名湖鉄道金指駅から北西へ約2.5kmにある井伊家*1のゆかりの古刹。臨済宗妙心寺派。  寺伝には行基の開山と伝えられており、古くから地蔵寺と称し信仰の場となっていた。中世には井伊家の祖、井伊共保(1010~1093年)の法名にちなみ自浄院と号し井伊家の菩提寺になったという。また、江戸中期の「遠江国風土記伝」では、宗良親王*2の...

浜松凧あげの写真

写真提供:公益財団法人 浜松・浜名湖ツーリズムビューロー

浜松凧あげ (静岡県 浜松市 )

例年5月3~5日の3日間、浜松まつりの中心行事として中田島凧揚げ会場で行われる。大凧揚げの起源*1は定かではないが、遠州地方は季節風の「遠州の空っ風」や遠州灘からの風もあり古くから凧あげが盛んで、各家の長男が誕生すると、最初の端午の節句に縁戚者から祝い凧が贈られ、村の若衆によって揚げられる風習があったという。明治中期に至...

はままつフラワーパークの写真

写真提供:はままつフラワーパーク

はままつフラワーパーク (静岡県 浜松市 )

浜松市制60周年を記念して1970(昭和45)年に開園された植物公園。JR東海道本線・東海道新幹線浜松駅から北西に約13km、浜名湖東岸、庄内半島の付け根にあり、舘山寺温泉にも近い。浜名湖畔の自然の地形や樹木を生かした造園で、面積は31.9万m2に及ぶ。  園内には「桜とチューリップの庭園」をはじめ、噴水池を囲む幾何学模様の...

浜松のうなぎ料理の写真

浜松のうなぎ料理 (静岡県 浜松市 )

浜名湖では江戸時代*1から良質の天然ウナギが獲れたが、養殖ウナギは、東京のウナギ業者服部倉次郎が1900(明治33)年に舞阪に移転し、湖内の細ウナギの育成に成功したのが始まりである。昭和初期にはシラスウナギ*2からの育成が可能になり、昭和40年代に至ると、飼料の開発や加温施設の普及が進み、南岸一帯に養鰻池*3の造成が急速に拡大し...

浜松市楽器博物館の写真

写真提供:浜松市楽器博物館

浜松市楽器博物館 (静岡県 浜松市 )

JR東海道本線・東海道新幹線浜松駅北口から東へ約500mのところにある。浜松市は世界的な楽器メーカーを含め200社以上の楽器関連会社が集まり、ピアノ、電子オルガンや電子ピアノ、管楽器、ギター、ハーモニカなど様々な楽器が生産されている。  このことから、浜松市が「音楽のまちづくり」の一環として1995(平成7)年に設立した市立の博...

摩訶耶寺の写真

摩訶耶寺 (静岡県 浜松市 )

天竜浜名湖鉄道三ケ日駅の北約2kmにある。摩訶耶寺の前身*1は、古くは山岳信仰に結びついた真言密教の道場として、愛知県との県境近くの富幕山に開創された新達寺といわれ、平安時代に、現在地近くの千頭ヶ峯の観音岩と呼ばれる場所に移り、寺号を真萱寺と称していた。  平安時代末期に一条天皇の勅願により現在地へと移り、摩訶耶寺の号を...

久留女木の棚田の写真

写真提供:写真集「井の国 棚田と伝承の里」鈴木一記著より

久留女木の棚田 (静岡県 浜松市 )

浜松市の中心街から北へ約30km、三遠南信自動車道浜松いなさ北インターチェンジから北東へ約6km、観音山の南西斜面(標高210~290m)に広がる。総面積約7.7万m2、800枚ほどの棚田は、石積みや土坡(どは)で固められた法面によって、小さく曲線的な田から大きく直線的な田まで様々な形状に区切られている。  久留女木*1の棚田の...

竜ヶ岩洞の写真

写真提供:竜ヶ岩洞

竜ヶ岩洞 (静岡県 浜松市 )

天竜浜名湖鉄道金指(かなさし)駅から北西約5kmにある鍾乳洞。標高359mの竜ヶ石山の南麓にあり、総全長約1km、そのうち、一般公開しているのは約400m。  2億5千万年前の地層と言われる秩父古生層の石灰岩地帯にあり、1912(大正元)年から1975(昭和50)年までは中断もあるが石灰岩の採石場として操業していた。1978(昭和53)年から学術...

浜名湖ガーデンパークの写真

浜名湖ガーデンパーク (静岡県 浜松市 )

JR東海道本線・東海道新幹線浜松駅から西に約14km、浜名湖の東岸、庄内半島の先端にある。湖畔の美しい自然の中、開放感あふれる都市公園。入場無料。  2004年に浜名湖花博の会場となった所で、56万m2の広大な園内には、緑地広場などがある「西側エリア」、水遊び広場や屋外ステージ、展望塔、体験学習館、中央芝生広場などがあ...