大津市
印刷する県南西部、琵琶湖南西岸にあり、北は高島市、南は甲賀市、京都府宇治田原町、南西は京都府宇治市、西は京都府京都市と接する。
琵琶湖南部にJR東海道線、東海道新幹線が通じ、琵琶湖西岸沿いにJR湖西線が通る。また、京都と大津市街地を結ぶ京阪京津線、比叡山から石山寺まで京阪石山坂本線、延暦寺へ向かう比叡山鉄道もある。国道は、1号の他、琵琶湖西岸沿いに161号、琵琶湖大橋を渡る477号、山間部に367号が通じる。高速道路は琵琶湖南部に名神高速道路が通り、瀬田東ジャンクションで京滋バイパスに分岐。5つのインターチェンジがある。琵琶湖から大阪湾に流れている瀬田川には5本の橋が架けられ、東西日本を連絡する大動脈として機能している。
本州のほぼ中央に位置し、琵琶湖南湖の西岸と瀬田川左岸にまで及ぶL字形の南北に細長い市域。大きく湖西地域と湖南地域に分けられる。比良、比叡、音羽、田上などの山並みに包まれ、これらの山から流れる河川による複数の小扇状地が狭長な平地を形成し、多くの集落が発達している。
1898年(明治31)市制施行。その後の複数回に及ぶ編入を経て、2006年(平成18)志賀町を編入して現在の市域となる。2009年(平成21)中核市に指定された。大津周辺に縄文時代以降の著名な考古学的遺跡が多く、1000基以上の古墳がある。中世以降、物資中継地として重要な位置にあり、とくに豊臣秀吉によって大津城が築かれて大津百艘船の制が決められて以降、北陸地方と近畿地方をつなぐ京都の玄関口として発展。江戸時代には、幕府が大津町を幕府領として大津城を膳所に移して膳所藩を置き、琵琶湖の物資が集まる港と東海道沿いの宿場町である大津と、城下町の膳所の二極構造で発展。明治時代には、浜大津に県庁や裁判所などが集まる他、インフラが整備された。
茶の発祥の地として知られるなど古くから農業も息づき、住宅地と田んぼや畑が隣り合う様子がみられる。この他、大津そろばんや針製造、さらに膳所焼などがよく知られ、現在でも長い伝統をもつ大津絵、組紐、近江鳥の子紙などの生産が続けられている。近代工業としては石山、瀬田地区を中心に紡績、化学、電気、食品、電子デバイスなどの工場が立地している。
石山貝塚、蛍谷貝塚、粟津湖底遺跡が瀬田川、南湖畔で発見されているほか、滋賀里式土器、弥生時代の銅鐸が出土している。他に、延暦寺、園城寺(三井寺)、日吉大社、聖衆来迎寺、西教寺、石山寺などの古社寺や、近江国庁跡、南滋賀町廃寺跡、義仲寺境内などの国指定史跡があり、延暦寺は1994年(平成6)に世界文化遺産に登録された。また、いわゆる「近江八景」のうち六景が大津市内に含まれる。独特の「大津絵」は現在もなお人気が高い。琵琶湖大橋、近江大橋、比叡山・奥比叡ドライブウェイが開通し、スポーツ、レジャーの拠点となっている。また、文化施設の県立近代美術館、県立芸術劇場びわ湖ホール、市歴史博物館、近江神宮時計館宝物館、木下美術館や大津港の防波堤には大噴水(びわ湖花噴水)などがある。また、温泉は比叡山の東麓に雄琴温泉がある他、石山南郷温泉、比良招福温泉がある。祭事としては、山王祭、大津祭、びわ湖大花火大会等がある。
観光資源一覧
比叡山延暦寺 (滋賀県 大津市 / 京都府 京都市 )
大津市と京都市に属する境界に位置する。両市から様々な交通手段を利用して、延暦寺まで容易に達することができる。比叡山には、延暦寺という名称の個別の寺院はない。延暦寺には133の堂宇が存在するが、その位置によって大きく、東塔、西塔、横川(よかわ)の3つの地域に分けられ、3地域を総合して延暦寺と呼ぶ。寺域も区切るのがむずかしい...
三井寺(園城寺) (滋賀県 大津市 )
京阪電鉄三井寺駅から徒歩7分、三井寺とも園城寺とも呼ばれる天台寺門宗の総本山である。 園城寺という呼び名は、672年の壬申の乱で敗れた大友皇子(おおとものみこ)*の子、大友与多(おおとものよた)王が、父の霊を弔うために、「田園城邑」を寄進して寺を創建し、この文字にちなみ、天武天皇から「園城」という勅額が贈られたことが...
日吉大社 (滋賀県 大津市 )
比叡山の東麓、八王子山(牛尾山)の山裾に鎮まる当大社は、紀元前91(崇神天皇7)年に創祀された全国3800余りの分霊社(日吉、日枝、山王神社)の総本宮である。古くは山王七社*といわれたように、国宝の東本宮*・西本宮*など建築美を誇る多くの社殿が、大宮川の渓流が流れる森に立つ。境内には約3000本のモミジがあり、とりわけ秋は、壮...
浮御堂(満月寺) (滋賀県 大津市 )
大津市北部、堅田にある。湖中にのびた橋の先に宝形造の仏堂が立っている、これが浮御堂である。臨済宗大徳寺派の寺院で、寺名を海門山満月寺という。 源信(恵心僧都)*が長徳年間(995~999)、湖上安全と衆生済度のため一堂を建て、1000体の阿弥陀仏を安置して千本仏堂と名付けたのに始まると伝わる。その後長らく荒廃していたが、江...

写真提供:西教寺
西教寺 (滋賀県 大津市 )
京阪石山坂本線坂本比叡山口駅の北西約1.5km、比叡山の東麓に広大な寺地を占める天台真盛(しんせい)宗の総本山。 聖徳太子が恩師である高麗僧の恵慈*、恵聡のために創建したと伝えられている。良源(慈恵大師)*が天台の念仏道場とし、源信(恵心僧都)*も入寺し、次第に栄えるようになった。1486(文明18)年、真盛(しんせい)*が...
石山寺 (滋賀県 大津市 )
京阪電鉄石山寺駅から約1km、瀬田唐橋から南へ約2km、伽藍山(がらんやま)を背に瀬田川に臨む佳景の地に立つ。天平時代からの豊かな歴史に支えられ、古来石山詣と称して人々に親しまれた。文学にも再々登場し、加えて貴重な文化財も多く保存する。西国三十三所第13番霊場で、今も多くの人が訪れる湖南屈指の名刹。境内には石山寺硅灰石が露...
近江神宮 (滋賀県 大津市 )
京阪電鉄石山坂本線近江神宮前から徒歩7分。天智天皇6年(667年)、同天皇が都を飛鳥から近江大津宮へ遷された由緒に因み、天智天皇を祭神に、1940(昭和15)年、皇紀2600年を記念して大津市街の北方、宇佐山(うさやま)の山腹に創建された。官幣大社に列せられる。 朱塗の楼門をくぐると、樹林に包まれた白木造の外拝殿が現れ、背後に回...
坂本門前町の街並み (滋賀県 大津市 )
比叡山の東麓にある延暦寺や日吉大社の門前町。比叡山の歴史とともに栄枯を重ね、平安時代から、山側の上坂本が門前町、湖畔の下坂本が荷揚げ港として発展し、中世には近江国最大の都市として繁栄。坂本港から運ばれる物資の集積地、京への中継地として人口1万数千人を数える商業都市になった。 比叡山焼討ち後は次第に浜大津にその地位...
大津祭 (滋賀県 大津市 )
湖国三大祭*の一つで、天孫(てんそん)神社*の例祭。スポーツの日前日に行われる本祭で、13基の曳山(ひきやま)が市内を練り歩く曳山巡行が祭りのハイライト。豪華なゴブラン織りや精巧な金具に飾られた曳山がコンチキチンの囃子にのってゆるゆると動き、からくり人形の所作が演じられる。 慶長年間(1596~1615)に鍛治屋町に住む塩...

山王祭(日吉大社 ) (滋賀県 大津市 )
山王さんといわれる日吉大社の例祭で、湖国三大祭*の1つ。791 (延歴10)年、桓武天皇により日吉社に2基の神輿が寄進されて以来、1200年以上の歴史を有する祭りで、西本宮 大己貴神(おおなむちのかみ)・東本宮 大山咋神(おおやまくいのかみ)の鎮座の由来をたどりながら、天下泰平・五穀豊穣を祈る。祭礼中、山王七社の7基の神輿(1基150...
建部大社 (滋賀県 大津市 )
瀬田の唐橋から150mほど進むと、瀬田橋本商店街に入る。この道は旧東海道で、橋本は橋畔集落である。唐橋から建部大社までの道は、味わいのある歴史街道である。 日本書紀によれば、戦功のあった日本武尊(やまとたけるのみこと)を祀るため、神崎郡建部郷(現、東近江市)にあったものを、675(天武天皇白鳳4)年に勅命により近江国衙(...
滋賀院門跡 (滋賀県 大津市 )
京阪電鉄坂本比叡山口から国道47号線を西に向かい、生源寺の前を左に折れると、老舗のそば屋鶴喜がある。隣には鶴屋益光、少し先に廣栄堂寿延の和菓子の店があり、ともに延暦寺や日吉大社など各寺院の御用達になっている。この道を進むと、すぐに右手に滋賀院の門がある。現在は延暦寺の本坊があるが、江戸時代末まで天台座主(ざす)の法親...

ふなずし (滋賀県 大津市 / 滋賀県 草津市 / 滋賀県 長浜市 / 滋賀県 高島市 / 滋賀県 彦根市 )
江戸前寿司や箱ずしの起源となるなれずしの一種。琵琶湖産のニゴロブナ*を塩漬けにし、さらにごはんに漬けて乳酸菌の力で発酵させる。ニゴロブナは2~5月に漁獲され、そこから仕込みが始まる。大きな魚だと発酵完了まで2年ほどかかる*。 なれずしはおもに正月などハレの日の食べ物として多くの家庭で作られていた。正月などのめでたい席...