建部大社たけべたいしゃ

瀬田の唐橋から150mほど進むと、瀬田橋本商店街に入る。この道は旧東海道で、橋本は橋畔集落である。唐橋から建部大社までの道は、味わいのある歴史街道である。
 日本書紀によれば、戦功のあった日本武尊(やまとたけるのみこと)を祀るため、神崎郡建部郷(現、東近江市)にあったものを、675(天武天皇白鳳4)年に勅命により近江国衙(こくが)の置かれたこの地に移されたと伝わる。源頼朝が伊豆流刑の途中、源氏再興を祈願。その後、再興を果たした頼朝は、1190(建久元)年、上洛の際に当社に詣でてその武運を感謝し、神領を寄進したとされる。以来、武運出世の神として信仰を集めた。江戸時代には膳所藩歴代藩主の崇敬を受けた。
 社殿は日本武尊を祭る正殿と大己貴命(おおなむちのみこと)を祭る権殿(ごんでん)が並び立ち、拝殿左右に摂社・末社が並ぶ。境内右手には縁結びの神として名高い大野神社がある。平安時代末期から鎌倉時代初期作と推定される3躯の女神(じょしん)像*は宝物殿内*に安置されている。
 8月17日に行われる納涼船幸祭(のうりょうせんこうさい)は大津三大祭の一つで、多くの人を集め、瀬田川の風物詩になっている。
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みどころ

境内は近江一の宮と尊ばれた風格が漂う。神社の建物の屋根すべてが檜皮葺きでおおわれ美しい。重要文化財の木造女神坐像は、高さ約40cmの一木造で、卵型のふっくらした顔と切れ長の細い目、右袖を手にして口元を覆う表情には恥じらいがあり、当時の高貴な女性の姿を思わせる。
 大津三大祭の一つの納涼船幸祭は建部大社の祭りで、日本武尊が船団を従え海路をたどった故事にもとづき、大神輿を載せた船が大社から瀬田川をゆったりと往復する。船団が瀬田浜に帰ってくると奉納花火が打ち上げられ、祭りは盛り上がる。
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補足情報

*3躯の女神像:女神坐像1躯と小神像2躯。女神坐像は日本武尊の御妃とされる。重要文化財。
*宝物殿:事前予約が必要、有料。
関連リンク 建部大社(WEBサイト)
参考文献 建部大社(WEBサイト)
滋賀・びわ湖 観光情報(公益社団法人びわこビジターズビューロー)(WEBサイト)
BIWAKO OTSU TRAVEL GUIDE(公益社団法人びわ湖大津観光協会)(WEBサイト)
『滋賀県の歴史散歩 上』滋賀県歴史散歩編集委員会 山川出版社

2025年04月現在

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