鶴岡市
印刷する鶴岡市は、山形県の北西部、庄内地方の南部に位置し、北部には庄内平野が広がり、東部から南部にかけて、出羽丘陵、朝日連峰、摩耶山系の山岳丘陵地帯となり、西部は日本海に面している。北は酒田市、三川町、東は庄内町、西川町、南は新潟県村上市と接する。庄内地方南部の商業中心都市である。
JR羽越本線と国道7号が市域を東西に走るほか、112号、345号が通じる。山形自動車道が中部を北上し、鶴岡ジャンクションで、西部を縦断する日本海東北自動車道と接続する。山形自動車道の湯殿山、庄内あさひ、鶴岡の3インターチェンジ、日本海東北自動車道のあつみ温泉、いらがわ、三瀬、鶴岡西の4インターチェンジがある。北端には酒田市にまたがって庄内空港がある。
歴史は古く、明治までは庄内藩14万石の城下町として発展。市街地の中心部は屈曲した道路形態などに旧城下町の面影をとどめている。明治に入ると繻子や羽二重などの絹織物業が隆盛を極めたが、第二次世界大戦後は農機具や木工家具の生産にかわり、近年は電気、輸送関係の工場立地が進んでいる。農業は庄内米で知られる米作が中心で、野菜や畜産などの複合経営がみられる。
磐梯朝日国立公園の一部で、海岸部は庄内海浜県立自然公園に指定されている。海沿いには湯野浜、由良、温海温泉、内陸部にも湯田川、川代などの温泉がある。
城跡の鶴岡公園付近には旧藩校の致道館(国史跡)や致道博物館がある。西部の大山地区は江戸時代から酒造地で知られる。付近に船乗りの信仰の厚い善宝寺がある。旧羽黒町地区の手向(とうげ)は山岳修験で栄えた出羽三山の中心羽黒山の門前集落である。旧櫛引町地区には国指定重要無形民俗文化財の黒川能が残る。旧朝日村地区には出羽三山の湯殿山が、旧温海町地区には奥羽三関の一つ、念珠関跡がある。
水上八幡神社本殿、鶴岡カトリック教会天主堂(1903年建造)や致道博物館に移築された旧西田川郡役所、田麦俣(旧朝日村)の旧渋谷家住宅(多層民家)は国指定重要文化財である。昨今は、加茂水族館(クラゲドリーム館)が人気を集めている。
観光資源一覧
善寳寺 (山形県 鶴岡市 )
JR羽越本線鶴岡駅の北西約10km、湯野浜温泉から約4km。鶴岡市の西部にあり、市街地と日本海を隔てるように立つ高館山の北東麓に、庄内平野と向かい合うようにある。天慶・天暦年間(938~957)の創建と伝えられ、その開基に関する伝承は、平安末期の説話集「今昔物語集」*にも載っている。境内にある貝喰の池には龍神伝説*があり、そのため...
黒川能 (山形県 鶴岡市 )
鶴岡市の中心街から南へ約10kmの黒川集落にある春日神社*の神事能で、氏子(農民)によって継承されてきた。起源は諸説あり、9世紀後半に清和天皇が黒川を訪れた際に伝えられたとするものや、15世紀初めに後小松天皇の第三王子小川の宮が黒川に入り、その従者が伝えたとするものがあるが、いずれも口伝の域をでない。史料記録などはないもの...
鶴岡市立加茂水族館(クラゲドリーム館) (山形県 鶴岡市 )
JR羽越本線鶴岡駅から西へ13km、湯野浜温泉の南約4km、日本海に面した海岸に立つ。前身となる水族館は昭和初期よりあったが、1964(昭和39)年から移転・新築し開館。経営的には厳しい時期もあったが、クラゲに特化した水族館を目指すこととし、2005(平成17)年にはクラゲの展示種類数が世界一の水族館となり、2012(平成24)年には世界記録...
致道博物館 (山形県 鶴岡市 )
JR羽越本線鶴岡駅から南西に約2km、鶴岡公園の西にある。致道博物館は1950(昭和25)年、旧庄内藩主*酒井家が土地建物および伝来の文化財などを寄付し、開設された。現在は、庄内藩第11代藩主酒井忠発の隠居所であった御隠殿(ごいんでん)を中心に、明治前期に建設された旧西田川郡役所、旧鶴岡警察署庁舎、田麦俣の多層民家旧渋谷家住宅が...
山五十川の玉スギ (山形県 鶴岡市 )
JR羽越本線五十川駅から五十川沿いに6kmほど山間に入り、支流の温俣川がつくる沢の斜面にある熊野神社の境内に立つ。樹高36.8m、根元幹囲が22.2m、目通幹囲11.4mの杉の巨木で半球状の樹冠を有し、姿が良いことから、この名がついたという。樹齢は1,500年くらいといわれているが、樹勢は旺盛で太い根幹は斜面をしっかりつかみ、一部は地表に露...
旧致道館 (山形県 鶴岡市 )
JR羽越本線鶴岡駅から南へ約2km、鶴岡公園の東南、鶴岡市役所前に位置する。致道館は庄内藩*酒井家第9代藩主酒井忠徳が藩制の緩みから武士の風紀の退廃を案じ、学問により正すことを目指し、1805(文化2)年に創設した庄内藩の藩校。致道館の名称は、論語の「君子學以致其道(君子学ンデ以テソノ道ヲ致ス)」による。当初は鶴ケ岡城の城外に...
国指定史跡 松ヶ岡開墾場 (山形県 鶴岡市 )
JR羽越本線鶴岡駅から南東約8kmにある。譜代大名・酒井氏を藩主とする庄内藩は、江戸時代末期、江戸市中取締まり役を担い治安を守っていた。1867(慶應3)年、幕命により江戸の薩摩藩焼き討ちを決行したことをきっかけに、翌年、鳥羽・伏見の戦いが起こり、戊辰戦争が始まる。庄内藩は会津藩らとともに新政府軍と戦ったが、会津藩が破れ、最...