壇上伽藍だんじょうがらん

壇上伽藍は高野山のほぼ中央部に建ち並ぶ堂塔群で、奥之院と並ぶ高野山の聖地であり、真言密教修禅の場である。19棟の堂塔で構成され、広さは約5万5千m2にも及ぶ。高野山における壇上とは、大日如来が鎮座する壇、もしくは道場を意味する。伽藍とは仏塔を中心とした僧房などを配置した場所のことである。
 壇上伽藍の歴史は古く、空海はまず丹生明神を勧請し、現在の壇上伽藍の地に御社を建てることから開山に着手したという。これが総本山金剛峯寺*1の始まりである。一応の完成に至ったのは、それから80~90年後のことだと言われている。堂塔はたびたび罹災し、現存する建造物は江戸時代から昭和にかけて再建されたものである。
 空海は仏像や仏画、建造物といった目に見えるものを通して密教教義を具現化することを目指した。大日如来を中心とした根本大塔と西塔というふたつの塔を両界曼荼羅に見立てたのがこの壇上伽藍であり、立体曼荼羅といわれる所以である。
#

みどころ

とりわけ高さ約48.5m根本大塔は壇上伽藍の中心をなす象徴的な建造物である、塔内には本尊の胎蔵大日如来像*2を囲むように金剛界の四仏が安置され、柱には十六菩薩、壁には八祖像が描かれている。高さ約5mの金色に輝く大日如来像、そしてきらびやかな色彩の立体曼荼羅には目を見張るばかりである。
 そして根本大塔と対をなす多宝塔が西塔である。西塔の本尊である金剛大日如来像は高野山に現存する最古の仏像であり、日本最古の大日如来像である。400の年輪を数えるほぼ一本の檜から彫り出された貴重な本尊の実物は、高野山霊宝館で拝観できる。
 壇上伽藍の諸堂はどの順に見てまわっても観光としては十分楽しめるが、総本山金剛峯寺では高野山に伝わる『両壇遶堂次第』に則った順番で諸堂をご参拝することを勧めている。
#

補足情報

*1 総本山金剛峯寺:高野山は「一山境内地」と称し、高野山の至る所がお寺の境内地であり、総本山金剛峯寺という場合、現在の金剛峯寺だけではなく高野山全体を指す。
*2 胎蔵大日如来像:空海が自ら作成したとされる大日如来像は、高さが5.3メートルあり、真言密教の最高神である大日如来を表している。この像は、空海が9年もの歳月をかけて制作したとされており、その技術や美しさは非常に高く評価されている。空海は、唐から日本に伝わった金剛界曼荼羅をもとに、大日如来の特徴的な表情や手のポーズ、衣服などを忠実に再現したとされている。また、この像は真言密教の教義や修行法を表現しており、真言宗の信仰の中心的な存在として崇敬されている。この像は、室町時代には多くの信仰者から厚い信仰を受け、高野山における真言宗の中心的な仏像となった。しかし、江戸時代には戦乱や火災によって多くの寺院が破壊され、大日如来像も多くの損傷を受けた。その後、明治時代になって修復が行われ、現在の形に復元された。現在、大日如来像は高野山の壇上伽藍に安置されており、多くの信仰者や観光客から崇敬を受けている。また、この像は国宝に指定されており、日本の仏教美術の代表的な作品の一つとして、国内外から高い評価を受けている。
関連リンク 総本山金剛峯寺(WEBサイト)
参考文献 総本山金剛峯寺(WEBサイト)
和歌山県公式観光サイト(公益社団法人 和歌山県観光連盟)(WEBサイト)
高野山観光協会「悠誘高野山」(WEBサイト)
JTBの新日本ガイド17 南紀 伊勢 志摩
「高野山を知る一〇八のキーワード」高野山インサイトガイド制作委員会

2025年02月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。